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走りの実力は?

自分の愛車って乗っているうちにいいところも悪いところもわかってくる。筆者はラシーンを所有していなかったが、前述の『FENEK』編集部用の社用車だったこともあり、隅から隅まで知っているつもり。

走りについては、街中での走行スピードでは非常にキビキビ感があって気持ちいい。やわらかめのアシはワインディングには不向きだが、街中での乗り心地がすこぶるいい。ちょっとフワフワした乗り味が癖になる。

苦手とするのは加速。1210kgの車重に対し105psは特別非力というわけではないが、加速時にエンジンがウォンウォン唸ってうるさい。エンジン音がデカいわりにスピードが出てなくてビックリってこともある。高速道路では100km/hに達してしまえば快適にクルージングできるが、合流車線での加速、減速後の再加速といった時はけっこうダルな感じ。

この写真の縦スリットのグリルは1997年のマイチェン後のモデル

狭いが使い勝手良好

運転席からの視界は広く良好。現代のクルマでボンネットの先端が見えるのは少数派だが、ラシーンはしっかり見え、カクカクしたボディデザインゆえボディの見切りがよく四隅の感覚もつかみやすい。Cピラーは太いが死角が少ないので安心して運転できるのはナイス。RVタイプではあるが背が低いので立体駐車場で重宝した。

今のコンパクトカーに比べるとリアスペースは狭い

一方室内スペースは今のコンパクトカーとは比べようもなく狭くタイト。特にリアシートは大人が4人乗車した状態ではリアのニースペースが狭くてかなり窮屈。おまけにラゲッジも広くはない。

そのラゲッジだが、社用車ラシーンは背面タイヤ仕様だったので、リアゲートを開けるためには背面タイヤが装着されているバーを解除する必要があるため面倒だった。しかしラシーンのリアゲートは上下分割タイプで、運転席のスイッチ操作で上部分のみを独立して開閉可能な優れものだったことを強調しておきたい。

リアゲートの上部の身を独立して開閉できるのはラシーンの魅力

ラシーンは売れたのか?

ラシーンは1994年12月にデビューして2000年8月に生産終了。新たなジャンルに挑んだモデルだったが、その間の総生産台数は7万2793台(日産発表)。ラシーンはデビュー時の月販目標が1000台だったのに対し、1997年1月のマイチェン時に月販目標を1300台に引き上げ。モデルライフ通しての目標台数を計算すると7万8600台となるため、目標には若干届いていないが、まずまず成功と言っていいはず。

そんなラシーンだが、2000年当時は日産はルノーとのアライアンスによる日産リバイバルプランによって大幅な車種整理を展開し、後継モデルの待望論もあったがラシーンは一代限りで消滅してしまった。

ホワイトメーターはスポーティさよりもオシャレさを追求

絶版後にいろいろな作品に登場

ネオクラシックブーム到来によりちょっと古い日本車の人気が高まっているが、生産終了となって10年程度経過した後にラシーンの人気がジワジワと上昇。

まず2012年に放映されたテレビドラマの『私と彼とおしゃべりクルマ』(フジテレビ系列)の重要な役どころであるおしゃべりクルマにサンドベージュのラシーンが使われて話題になったが、決定打となったのは2015年のマンガ『ゆるキャン△』(あfろ著・芳文社)だろう。

今見ても独特なフロントマスク。グリルガードなしはもう少しスッキリ!!

『ゆるキャン△』の主人公のひとり、各務原なでしこの姉である大学生の各務原桜が作品中でラシーンっぽいクルマに乗っていると話題に。実はこの『ゆるキャン△』は、アニメ、ドラマも製作されすべて人気作品となっているが、ドラマでは実車のラシーンが使用されていた。

最新のものでは、2024年4~6月に放映されたTVドラマ『Destiny(デスティニー)』(テレビ朝日系列)の第一話で亀梨和也、石原さとみが乗っていたのがラシーンだった。

絶版になった後にここまで複数の作品に登場するクルマも珍しい。

上下2本の黒いバーは背面タイヤ装着のためのもので、これを解除しないとリアゲートが開かない
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この記事のライター

市原 信幸
市原 信幸

市原 信幸

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