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第一印象は最悪

筆者はラシーンがデビューした1994年は、クルマ雑誌『ベストカー』の編集部に在籍していた。新型車の撮影会、試乗会などなど職業柄普通の人よりも新型車に接する機会が多いのはまさに役得。新型車についてはすべてと言っていいほど運転させてもらった。

ラシーンはデビュー前の事前撮影会を担当したのだが、実車を目にしての第一印象は、「カッコ悪い」だった。ラシーンのデザインは好き嫌いがはっきり分かれていたが、クルマのデザインに艶っぽさを求める筆者にとってはまったく刺さらなかった。

子どもが描いたようなカクカクボディこそラシーンの真骨頂

しかし不思議なもので、武骨で色気も何もないラシーンだが時間の経過とともに「独特のムードがいいね」に変わっていった。今見ても雰囲気がいいのは、デザインに時間的耐久性がある証拠で、現在の中古車人気(後述)の大きな要因だろう。

ラシーンはなんちゃってRVにあらず!?

ラシーンをデビューさせた日産は、『新感覚のRV』と大々的にアピール。当時のクルマ雑誌などを見ても『新ジャンルカー』と呼ばれていた。当時はクロスオーバーカーという名称はなかったが、ラシーンは今で言うところのコンパクトワゴンとSUV、またはハッチバックとSUVのクロスオーバーカーということになるだろう。

そのラシーンはラシーンが登場する前のモデルとなる(いわゆる旧型)7代目のサニーをベースにパルサーとパーツなどを共有していた。

1.5Lのみでスタートし、1997年に1.8L、2Lを順次追加

エンジンは1.5Lの1エンジンでスタート(後に1.8L、2Lを追加)し、トランスミッションは5MTと4ATが設定されていたが、5MTを買う人は少数派だった。

ラシーンはカッコだけの『なんちゃってRV』などと揶揄する声もあったが、駆動方式は2000年に生産終了となるまでFF(前輪駆動)は設定せず、ビスカスカップリング付きのフルタイム4WDのみ。このあたりは日産の矜持か。

純正ではなくオリジナルのグリルガード、フォグランプ装着が人気だった

CMはドラえもんでスタート

日産はラシーンのCMにドラえもんを起用して、『新・ぼくたちのどこでもドア。RUN!!RUN!!ラシーン新発進。』というキャッチコピーで新感覚のRVをアピール。ドラえもん、どこでもドア、ラシーンというビジュアルに癒された人も多かったはず。ちなみにドラえもんとの契約は1997年11月末までだった。

この青いボディカラーはドラえもんブルーと呼ばれていた

1998年4月に全幅を1720mmに拡幅した3ナンバーボディに2Lエンジンを搭載したラシーンフォルザ(FORZA:イタリア語でガンバレの意味)を追加。そのキャッチコピーは『ラシーンの国へようこそ。ちょっと大きめ ラシーンフォルザ発進。』で、ムーミン&スナフキンが新たなCMキャラクターとなった。キャラクター、実車、風景を巧みに合成した秀作だった。ドラえもん編、ムーミン&スナフキン編ともYouTubeで検索すると視聴できるのでぜひ見てもらいたい。

全幅を1720㎜まで拡幅し2Lエンジンを搭載したラシーンフォルザは 丸4灯ヘッドライトが精悍
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この記事のライター

市原 信幸
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