■パリッと焼きのりをつまみに
片や焼き海苔は品よく木箱に入って登場。
海苔ってそもそもは高級品だしね。ちなみに板海苔も焼き海苔も誕生したのは江戸時代だ。木箱の下には火種が入っていていい香りが漂い、最後まで湿気ずにパリッといけるという寸法だ。
何を頼むかは迷うが目の前があまり混雑しても野暮。3品くらいに絞ってついっといきたいね。と、そうこうするうちに蕎麦が登場。うーむ、品格さえ漂う純白さ。白さは磨きがかけられ、4代目の明治中頃に今の蕎麦になったという。
蕎麦が15銭の時代に1円だったそうだからわりと高級。「うちは蕎麦が高いんだから量を少なくするな」とは堀井さんのお祖母さんの言だそうで、盛りがしっかりしているのはうれしいところだ。
蕎麦はあたりが柔らかく、本節だけで取られた少し甘めのツユで啜れば、口内から上品な甘みと香りが返ってくる。こちらではさらしな蕎麦に季節の旬のものを練り込んだ、色鮮やかな変わり蕎麦もあってそれも楽しみだ。一献やりながら、今日は何を手繰るか考えるのもまた一興というわけだ。
…つづく「東京のうまい「最強の町寿司」ベスト7軒…高コスパ、一貫《110円》からで一見さん、ソロ活でも大丈夫「覆面調査隊が実食」」では、庶民価格の美味しい町の寿司店を紹介します。
『おとなの週末』2022年12月号より(※本内容は発売時点の情報です)