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ブータン人が松茸を好まない理由って?

もう満足、目的は達せられた、そう思ったのだが、最後にメインが待っていた。焼き松茸だ。

食べてみると最高級の日本産となんら変わらない。松茸は新鮮なほど香るというから、現地で食べればうまいのは当然だ。いや、遠慮なく大量に頬張れる分、日本でちびちび食べていたときよりも僕は舞い上がった。香りを愛でるにはやはりシンプルな網焼きが一番かもしれない。

タワシでゴシゴシ洗った白い松茸と、そうしなかった茶色い松茸の差も歴然としていた。白い松茸は思いっきり神経を集中しても遠くのほうでかすかに香る程度で、ほとんど歯ごたえしか残っていない。テンジンも運転手も茶色い松茸を食べて目を丸くしている。まるでいま生まれて初めて松茸を食べた、といったような顔つきなのだ。

あれ? ブータン人が松茸を好まない理由って、もしかして……。

『世界の果てまで行って喰うー地球三周の自転車旅ー』(新潮社・1760円)
石田ゆうすけさん

石田ゆうすけ
旅行作家。1969年、和歌山県白浜町生まれ。東京在住。高校時代から自転車旅行を始め、26歳から世界一周へ。無帰国で7年半かけ、約9万5000km、87ヵ国を走る。帰国後、専業作家に。自転車、旅行、アウトドア雑誌等への連載ならびに寄稿のほか、国内外での食べ歩きの経験を活かし、食の記事も多数手がける。世界一周の旅を綴った『行かずに死ねるか! 世界9万5000km 自転車ひとり旅』(幻冬舎文庫)など著書多数。全国の学校や企業で「夢」や「多様性理解」をテーマに講演も行う。

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おとなの週末Web編集部
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