極上煮干しラーメンと独特なちぢれ麺
そして、ラー博30周年「あの銘店をもう一度」の企画で、20年ぶりに五島さんの店「支那そば 勝丸」がラー博に戻ってきました。
「勝丸」のラーメンの特徴は、なんと言っても“極上な煮干しの香り”と“唯一無二のちぢれ麺”です。
先にも述べましたように当時煮干しのきいたラーメンはほとんどありませんでした。そのため、ひと口食べて残すお客さまも少なくはありませんでした。後藤さんは悩んだ末に、香りの強いマイワシからマイルドなカタクチイワシに替えたのです。
今回の出店では1994年のラー博開業当時のマイワシで、「勝丸」のスープを作ってもらいました。
そして麺。いわゆる一般的な「ちぢれ麺」とはちぢれの間隔や具合が異なります。「支那そば 勝丸」の麺は、口の中でこのちぢれが踊ります。一度食べるとこの食感は忘れられません。
私・岩岡が感動したあの当時のラーメンの復活はとてもうれしいことでした。
80歳の鉄人は毎朝7時にラー博へ
ラー博30周年企画の実施において、当初の計画では、オープン時に出店いただいた8店舗を、実施スケジュールのフィナーレというか、最後に持ってくる予定でした。
ですが後藤さんから、「俺はもう80歳だから、そんな先だとこの世にいないかもしれない……。だから先に出店させてくれないか?」と言われたのです。
それを受けて、急遽2022年の11月から、1994年のラー博オープン時に出店いただいた“94年出店組”という枠組みを設け、最初の8店舗に出店いただくことになりました。
そして、そのトップバッターを飾ったのが後藤さんでした。奇しくも11月は後藤さんの誕生月でもあり、80歳を迎えるタイミングでした。
軽トラ屋台での開業から、50年という店としても、職人としても、節目の年でもありました。
ただ、正直なところ、不安も少しありました。というのも、手前味噌ですが、当館は多くのお客さまがお越しいただくこともあり、80歳という年齢では、乗り切れない可能性もあるのではないか……と思ったからです。
しかし、ふたを開けてみると、後藤さんは毎朝7時にラー博に入り、夜の9時まで働いても元気いっぱいだったのです。
そして、日を重ねるごとに、顔色もよくなり、みるみる元気になっていったのです。
その光景を見に来られた「一風堂」創業者の河原成美さん、札幌「すみれ」の村中伸宜さんも驚き、この後藤さんの行動が導火線となり、ラー博30周年記念企画の“94年出店組”出店時は、“創業者が厨房に立つ”という流れができたのです。
まさにトップバッターが後藤さんで本当によかったと思っております。
『ラー博30年 新横浜ラーメン博物館 あの伝説のラーメン店53』2025年2月20日発売
『新横浜ラーメン博物館』の情報
住所:横浜市港北区新横浜2-14-21
交通:JR東海道新幹線・JR横浜線の新横浜駅から徒歩5分、横浜市営地下鉄の新横浜駅8番出口から徒歩1分
営業時間:平日11時~21時、土日祝10時半~21時
休館日:年末年始(12月31日、1月1日)
入場料:当日入場券大人450円、小・中・高校生・シニア(65歳以上)100円、小学生未満は無料
※障害者手帳をお持ちの方と、同数の付き添いの方は無料
入場フリーパス「6ヶ月パス」500円、「年間パス」800円
新横浜ラーメン博物館:https://www.raumen.co.jp/