明治の趣を感じる古民家レストランで広島和牛に舌鼓
ランチは静かな町屋通りに佇む、1912(明治45)年竣工の邸宅をリノベーションしたレストラン&カフェ、『宮島 レ・クロ』へ。
大きな窓から日本庭園を望む店内は、障子紙の代わりにガラスを用いた「吾妻障子」など、明治時代の意匠が随所に残されたモダンな空間。緑あふれる庭園をゆったり眺めながら、欧風料理を楽しめるレストランだ。
ここを訪れたら食べておきたいのは、黒越勇(くろこし・いさむ)シェフによる、広島和牛を使用した極上の肉料理だ。
黒越勇シェフは『広島全日空ホテル』(現・ANAクラウンプラザホテル広島)で2007年~2013年まで総料理長を務め、2000年には世界料理オリンピックにて、ヘルシーメニュー部門で日本人で初の金メダルを受賞。2009年には、厚生労働大臣賞を受賞した経歴を持つ。
2023年に宮島で開催された「G7広島サミット」では、ファーストレディーをもてなす食事会の調理も任され、2024年には卓越した技能を持つ第一人者を表彰する「現代の名工」にも選出された。
そんな華麗なる経歴を持ちながらも「ただその時その時、いる場所で求められてきた事を頑張ってきただけなんだ」と照れ臭そうに語るシェフは、国内外の料理コンクールの審査員や調理師専門学校の講師も務め、後世を担う若手シェフの育成にも力を注いでいる。
火入れに細心の注意を払い、レアに焼きあげた「牛モモ肉のタリアータ じゃがいものロースト添え」(4500円~)は、モモ肉の中でも特に希少な部位、「マルシン」を採用。横には肉の風味を引き立てるほどよい酸味の赤ワインソースを添えている。脂肪分が少ないため、後味はさっぱりとしているが、ほどよい柔らかさと、舌の上でじんわりと広がる豊潤なうま味を堪能できる至福の逸品だ。
同店ではとろける食感と深いコクが楽しめる「比婆牛」をはじめ、ほかにも広島が誇るブランド牛を味わうことができるので、ぜひ一度トライしてみてほしい。(肉の種類は仕入れによって変動)
付け合わせには、スペイン産生ハムメロンやベビーホタテのエスカベッシュ、人参のラぺなど、色鮮やかなタパス6品が楽しめる「前菜盛り合わせ」(1600円)をオーダーするのがおすすめ。一皿でしっかり満足感が味わえる、ハズさないメニューだ。
「庭の景色を眺めつつ、忙しない日常を忘れてのんびりと食事を楽しんでほしい」と、黒越シェフ。時が止まったような感覚を味わえるノスタルジーな隠れ家で、おいしいひとときを楽しもう。