電話口での対応は重要な判断要素
ネット上に口コミが少なければ、観光協会や観光案内所に電話をかけて、現地の情報をリサーチする。疑問点があれば宿に直接、電話をかけてみる。ファーストコンタクトの直感は結構、当たっている。電話口で対応が親切ではないと感じた場合は、滞在しても何かしら違和感が出てくる。
何をもって「いい宿」と評価するかは旅行者の主観によるわけだが、私が重視しているのは「人」である。館主や女将の思い入れが伝わってくる、インテリアや料理に心を砕いているような宿が好き。高級ホテルのような設えは求めていないが、質のいい木材や岩、自然との一体感など空間の心地よさを感じられれば最高である。
SNSの隆盛によって、由布院などの王道の温泉地は混雑度が加速しているので、知名度が低い穴場温泉地を狙ってみよう。オシャレなカフェもなく、若い人には人気がないかもしれないが、のんびりとした空気感に癒やされることだろう。最近行ったところでは、山口県俵山温泉、熊本県日奈久温泉にノスタルジーを感じた。
入湯税の値上げが続く
(2)「入湯税150円」のままの温泉地を狙え
今回の記事で言及したかったのが、実は「入湯税」と「宿泊税」についてである。最近は温泉旅館に宿泊するときにかかる「入湯税」の値上げが続々と発表されている。
「入湯税」というのは、鉱泉源の保護や観光振興、観光施設の整備などに使われる名目で市町村が温泉旅館に泊まる人に課す目的税である。これまでは宿泊者はだいたい150円取られていたのだが、2024年あたりから、値上げを表明する市町が出てきた。
阿寒湖温泉(北海道)は10年前から、別府温泉は6年前から250円(※阿寒湖温泉は2025年、300円に改定。別府温泉は宿泊料金によっては500円)に値上げして「高い」印象だったが、あくまでも例外的だった。
これが2024年10月、由布院温泉(大分県湯布院町)が250円に、2025年は熱川温泉、北川温泉、稲取温泉(いずれも静岡県東伊豆町)が300円に増額した。同じ伊豆半島の伊東温泉(静岡県伊東市)で2025年10月から、下田温泉(同下田市)は2026年に値上げを検討。さらに九州の嬉野(うれしの)温泉(佐賀県嬉野市)でも2026年から値上げするということで、全国に波及する可能性がある。