宿泊税の導入を進める自治体が増加
(3)「宿泊税」の設定がない温泉地を狙え
全国で導入が進む「宿泊税」も旅行者にのしかかってくる。宿泊税も観光振興のために使われる地方税だが、インバウンド(訪日外国人旅行者)の増加も相まって、導入を検討する自治体が増えている。
これまで宿泊税といえば、東京都、大阪府、京都市、金沢市、福岡県、長崎市などの都市部のホテルにかかるイメージだったが、温泉旅館が多い県・市町が本格的に導入を開始する。
インバウンドでフィーバーするニセコ町では2024年11月から、スライド式の宿泊税を導入。宿泊料金10万円以上ならば2000円と上限も高い。
温泉好きな旅行者が危惧するのは、県まるごと、「宿泊税」を表明するところが増えることだろうか。宿泊税とは何に使われる税金なのか。観光のインフラ整備や観光客の誘致といった観光振興のための税金なので、受益者負担と考えれば致し方ない。「300円でしょ? 微々たる金額で目くじらを立てなくても…」と思う人にとっては大した問題ではないが、「そこでなくてもいい」人にとっては他県に鞍替えする理由になる。
湯治文化が危ない?
鳴子(なるこ)温泉や秋保(あきう)温泉、作並(さくなみ)温泉のある宮城県と仙台市でも導入する。開始時期は令和8(2026)年1月が検討されており、素泊まり6000円以上の宿泊料金の場合、宿泊税を1泊につき、300円を徴収する。
宮城県には温泉で療養する「湯治(とうじ)文化」が残っていて、湯治は「七日一巡り」で二巡り、三巡りと長く滞在するのが相場。最近は2〜3日のプチ湯治もあるが、人によっては2〜3週間の湯治をしている人もいるだろう。
泊数に応じて税金が増えるとなると、長湯治にはイタい金額である。湯治宿の宿泊料金は安いのに、5泊すれば宿泊税は1500円。2週間だったら4200円が上乗せされる。湯治文化の衰退に拍車がかかりそうで心配だ