車名に込められた意味
耳ざわりのいいランディスという車名の由来は、「Latens Curtis」(秘密の城)というラテン語の造語で、“私たちの城”という意味を込めて命名されていた。自分の城って? となるが、当時マツダからは「これからクルマ生活を始めるビギナーもベテランも、ドライビングを心の底から楽しめる自分の城」とわかかったような、わからないような微妙な説明を受けたものだ。自分だけの楽しみ方ができるということだろう。
ランティス・アピール
自動車メーカーはクルマが登場するたびに独自のキャッチフレーズを付けるわけだが、ランディスのキャッチフレーズは『ランティス・アピール』というもので、これは広告などでも積極的に展開していた。マツダがランティスでアピールしたかったのは以下の3点。
■大きなクルマほど安全である、という常識に反論します
■高価なクルマほど快適である、という考え方に反論します
■ハイテクなクルマほど高性能、という認識に反論します
マツダって社内思想を大々的にアピールする傾向にあるが、ランティス・アピールはこれまでの常識を覆したい。コンパクトなクルマでも安全・快適・高性能を追求しましたというアピールなのだ。そう考えれば、バブル期で浮かれていただけではないマジメなクルマ作りがされているのがわかる。
5ナンバーサイズを死守
ランティスボディサイズは全長4245×全幅1695×全高1355mmの5ナンバーサイズ。室内の広さを確保するために、コンパクトボディに対しホイールベースは2605mmと長い。
1990年代に入り自動車税がナンバー区分ではなく、完全な排気量区分となった。簡単に言えば、エンジンは1.5Lでも全幅が1700mmを超えていれば高い自動車税を払う必要があったが、税制の改正により排気量に合わせた自動車税を払えばよくなったのだ。この改正のタイミングに合わせていち早く登場させたのが初代三菱ディアマンテで、それ以降、2Lクラスのセダンモデルが続々と全幅1700mm超えの3ナンバーボディを採用するようになり日本のセダンが一気に大型化された。
マツダもセダン系で3ナンバー化を推進していただけに、ランティスは貴重な存在でもあった。小さいボディに広い室内、これはランティスの魅力だった。