プラットフォームは専用開発
ランティスはバブル期に開発された贅沢なクルマであることは説明したが、それが如実に現れているのがプラットフォームとエンジン。
当時マツダはファミリアクラスのBプラットフォーム、一連のカペラ系のGプラットフォームをメインとしていた。前述のとおりランティスはファミリアとカペラの間と説明したが、通常ならファミリアのBプラットフォームを使うところだが、カペラのGプラットフォームから派生したCBプラットフォームを採用。しかもこのCBプラットフォームはランティス専用に開発されたもので、その後も使われていない。これは贅沢。まぁ、こんなことをしているから経営難になるのだが……。
一方エンジンも1.8L、直4DOHCと2L、V6DOHCの2本立て。バルブ期では三菱とマツダが小排気量V6エンジンを積極展開していたが、ランティスのV6DOHCエンジンは超高回転型のすこぶる気持ちのいい回転フィールだった。直4エンジンに比べると回転のスムーズさは特筆だった。
トランスミッションは5速MTと4速ATを設定。当時のセダンは2Lクラスまでは5MTの設定は当たり前で、マークII系にさえ設定されていた。
エンジンが最高に気持ちいい!!
実はこのランティスだが、筆者が在籍していた自動車雑誌『ベストカー』の編集部のアシとして使っていた。そのため、ランティスの長所も欠点も手に取るようにわかる。当時筆者は個人でクルマを所有していなかったので、もしかしたら1990年代で最も距離を乗ったクルマかもしれない。
まず、乗ってすぐにボディのしっかり感が体感できる。この剛性感の高いボディが走りにも好影響を与えている。2L、V6搭載のクーペだったのだが、その吹き上がりの気持ちよさはホンダのタイプR系とはまた違ったNAの魅力を堪能できる。ただ、このV6は最大トルクを5500回転でマークするスペックからもわかるとおり、低中速トルクはスカスカ。そのため街乗りでは少々物足りない面があったり、ギクシャクもしたけど、7000回転まで一気に回り、その高回転の気持ちよさで相殺される。
編集部のクルマは5速MTだったので、2~4速を駆使してワインディングを走れば、もうすべてOKという気持ちになれるくらい爽快だった。
後席の広さはクラスナンバーワン
インテリアはシンプルながらスポーティなデザインでまとめられていた。ラグジュアリーな雰囲気はかなったが、シートもフィット感抜群。実用面ではやっぱり室内の広さ。ファミリアクラスと言いながら特に後席の広さはコンパクトクラスではナンバーワン。そしてトランクも広いため、大量の荷物を積むこともできた。撮影機材などでは長尺ものもあるが、トランククルーにより楽々と積載できた。