歯の浮くような言葉の数々で魅力をアピール
当時の宣伝文句なんて聞いてもつまらない。しかしS-MXは別格に面白い。一部だけ紹介するのは意味がないので、ここは全部大公開!! 当時の開発者、マーケティング担当は赤面してしまうかもしれないが、この突き抜け感が半端ない。
【クルマ史に残る秀逸コピーの数々】
■恋は、片寄せ同じ未来を見たがる(ツイン・ベンチシート)
■恋は人生の宝石箱(ツインキューブ・パッケージ)
■恋の一歩は、何気なく始まってしまう(ワンステップフロア)
■恋をすると、ふところが気前よくなる(収納ポケット多数)
■恋の瞳には数字さえ絵に見える(グラフィックメーター)
■恋をすると「風も雨も波」もモーツァルトになる(ハーモニーエキゾースト)
■恋愛の入り口はひとつだが、出口は結婚と失恋のふたつある(ワンツードア)
■人を愛すると、大物に見える(パワフル・フロントビュー)
■一心の愛は、全身で守れ(高密度ストレート骨格)
■誰でも恋の思い出は三つある(3つの仕様を設定)
■倒れたら起こすのが友情、ともに倒れるのが愛情(フルフラットシート)
■恋をすると、背中に天使の光る羽根(大型リアコンビネーションランプ)
■愛の頭上には、雨の日も青い空、闇の夜も満天の星(ワイドガラスサンルーフ)
■男の顔に惚れるな、背中に惚れろ(ストレートカットリアビュー)
■星に願えば道はひらける(ホンダナビゲーションシステム)
■胸が音楽のように揺れるのを、愛という(デリカシー・サスペンション)
■男は車を運転し、女は男を運転する(コラムシフトATレバー)
■恋する脚に、錠はかからず(ABS)
■恋愛とは旅である(大容量ラゲッジスペース)
■膨らむ愛が、二人を守る(両席SRSエアバッグ)
■ふたつのハートがひとつになることを愛という(2L、DOHCエンジン)
■結婚するなら、四番目の男(クリエイティブムーバー第4弾)
ホンダの徹底ぶりが凄い
恋愛に関するキャッチコピーでクルマの魅力をアピールしているのだが、とにかく凄い。ボディの骨格構造まで恋愛仕様にしているのは偉い!! 個人的にはフルフラットを『倒れたら起こすのが友情、ともに倒れるのが愛情』としているのが刺さった。ジェンダー系の内容もあり、今の時代では世に出ないキャッチだろう。
歯の浮くようなキャッチコピーで『恋愛仕様』をアピールしたS-MXのTV CMに使われた楽曲も初期がエルトン・ジョンの『Turu Love』、後期がVIE VIE(ビビ)の『恋のバカンス』(ザ・ピーナッツのカバー曲)ということで、これまた恋愛仕様。
このホンダの潔いまでの徹底ぶりに今さらながら感心する。
ちなみにこれまで見てきたのは標準モデルのキャッチで、同じS-MXながらローダウンは、走りの気持ちよさを前面にアピールしたもので差別化されていた。