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地道な宣伝活動から爆発的な大ヒット商品へ

ただ、人気に火が付くまでに、それほど時間はかかりませんでした。発売直後は販売台数が伸びなかった「ウォークマン」を世の中に広めたのは、「そんなことまでやっていたのか!」と思うほどの社員たちの地道な宣伝活動。まずは「ウォークマン」を人の目に触れさせ、知ってもらわなければ始まりません。

そこで、社員たちは、東京都心を回って走っている山手線に、自ら「ウォークマン」を身につけ乗り込み1日中グルグル回ったり、休日には新宿や銀座などの歩行者天国などに出かけ、通りすがりの人に直接「ちょっと聴いてみませんか?」と試聴をしてもらったり。

そんな努力が功を奏して評判は口コミで広がり、アイドル歌手らが使っていることなども話題になって、驚くべき勢いで若者の間に浸透していきます。発売翌月の8月には、初回生産分は売り切れ、品切れのお店が続出。その人気は海外にも波及し、音楽を楽しむ新しいスタイルとして受け止められ、世界的な大ヒット商品となりました。

いつでもどこでも音楽が聴ける。若者を中心に世界でも大ヒットに!(photoAC)

猿がすっくと立ち、「ウォークマン」を手にヘッドホンをつけ、目をつぶり音楽に聴き入る―――。1987(昭和62)年に流れていたそんなテレビCMを覚えている方もいるでしょう。オーディオ分野に新しい風を吹き込み、一時代をつくった「ウォークマン」は第1号機発売から10年で累計5000万台を突破。1995年度には、累計1億5000万台にのる歴史的大ヒットとなりました。

1990年代にはCDなどのデジタルオーディオが主流になり、21世紀になってからも販売されていましたが、カセットテープ型は2010(平成22)年に最後の出荷を終え、31年間に及んだ歴史に幕をおろします。カセットテープ型の累計販売台数は最終的に約2億2000万台に上りました。

ただ、「ウォークマン」 の名称は、現在も続いています。記録媒体の発展とともにCDウォークマン、DATウォークマン、MDウォークマン、メモリースティックウォークマンなどに進化。ストリーミングサービスにも対応する高音質の最新型が話題になるなど、携帯音楽プレーヤーとして「ウォークマン」のブランドは健在です。

近年、レコードやカセットテープというアナログ媒体が注目を浴び、若者の間でも人気が再燃しています。山下達郎さんらカセットテープで楽曲を再発するミュージシャンもいます。もし「ウォークマン」が手元に残っていたら、ぜひ聴いてほしいです。録音状態にもよりますが、改めてその音質の良さに驚くことでしょう。

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おとなの週末Web編集部
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