毎朝仕入れる新鮮な魚介をふんだんに使った700円の海鮮丼@居酒屋 北野
『萬願亭』と同じ駅前第1ビルにもう1軒優秀なランチ提供店がある。『居酒屋 北野』だ。こちらも連日ランチタイム終了間近までひっきりなしに客が来ている人気店である。ランチメニューは、「海鮮丼」、「刺身定食」、「焼しゃぶ定食」、「煮サバ定食」の4種類。一律700円で提供されている。
4種類のメニューの中で最も人気なのは「海鮮丼」。毎日100食近く売れるランチメニューで半分以上の注文を「海鮮丼」が占めている。店主も太鼓判を押すのも納得の逸品だ。海鮮丼に使われる鮮魚は毎朝市場へ出向き、仕入れたものを使っているから新鮮そのもの!
この日のネタはしめ鯖、タコ、ヤリイカ、ハマチ、タイ、マグロ、とびっこの7種類に、ちくわとエビの天ぷらがのっていた。見ただけで心が踊る。
しかもどれも臭みがなく、旨みを強く感じる。
特に真ん中にのっているマグロはキハダやメバチなどではなく、「本マグロ」。そのため、口に入れると舌の上でじんわりと脂が溶けだして非常に旨い。
見た目から「ちょっと物足りないかも……」と思ったが、ちくわ天とエビ天がボリュームを増すのに良い仕事をしている。しかも最後のほうに取っておいても、ちゃんとサクサクした食感が続いている。
そして、どれを食べてもちゃんと全部おいしい。なのに、700円での提供。安い……安すぎる。ちょっとした工夫がクオリティの高い海鮮丼を作っているのだと感動した。
店主は「ランチはほぼ利益はない。だからといって、妥協した食材を使うことはしない。おいしいと思ってもらって、また昼でも夜でも食べに来てもらえたらうれしい」と語る。
ランチでこのクオリティ。夜にも行きたくなってしまうのは筆者だけではあるまい。
■『居酒屋 北野』
[住所]大阪府大阪市北区梅田1-3-1
[電話番号]06-6344-5665
[営業時間]11時〜23時(22時LO)
[休み]]土・日・祝(詳細はHPをご確認ください)
[交通]JR東西線北新地駅11-4出口、地下鉄四つ橋線西梅田駅7-Aから徒歩2分
見えない努力から生まれる格安ランチ
今回取材をしてみて、どの店も物価高で相当苦労していることがわかった。特に今年に入ってから明らかに客足が遠のいているそうだ。
私も外食が大好きで、夜に食べに行く店の新規開拓も兼ねて、ランチも飲食店で食べることが多かった。しかし1食1000円で食べられなくなってきてから弁当を持参することが増えた。
この取材を通して1000円以内で、おいしい食事を楽しんでもらおうと努力をされている店がまだまだあることを知った。
『堂山食堂』は、品数や内容を調整して500円から値段を上げないようにしている。『萬願亭』は全国の旨いものを安く提供できるように仕入れ先や業者と日々打ち合わせを重ねている。『居酒屋北野』は居酒屋メニューと使う食材を同じにすることで、大量買いを可能にして、仕入れ先との関係構築に努め、仕入れる食材の質を保っている。
普段食べているだけでは見えてこないところで、努力しているのがわかった。
「値上げや、メニュー数を減らして人件費を抑えることはもちろん頭をよぎる。しかし、毎日通ってくれる人がいて、その人たちの顔を思い浮かべると、『もうちょっとがんばろうかな…』と思ってしまう」とみなさん口々に語っていたのが印象的だった。
取材・撮影/後藤華子
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¥4,380(税込)
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