ロート製薬が石垣島で手掛ける農業ビジネス
同じ浜松町に東京支社を構える『ロート製薬』(本社・大阪市)。「ロート、ロート、ロート~」の歌声と共に昭和30年代から平成にかけて流れた多数の鳩が舞うテレビCMを覚えている人も少なくないだろう。その製薬会社が“農業ビジネス”に携わっていることは、失礼ながら知らなかった。2002年12月に設立されたグループ会社のやえやまファームのことだ。
では、なぜ小豆島の食材を扱う夕陽ヶ丘食堂とコラボすることになったのか。それは、ロート製薬のある担当者の思いにあった。
「やえやまファームがある石垣島とオリーブで有名な“小豆島”には、同じ“離島同士”という境遇があるのではないか。それは、より多くの人たちに互いの島のことや”良さ”を知ってもらいたい」
この強い気持ちを率直に夕陽ヶ丘食堂へ伝えたところ、これに共感し、石垣島の食材を使った料理を提供することになったそうだ。
“持続可能な未来の実現”という、共通のビジョンを持ち合わせた両社だからこそのコラボレーションとなったわけだ。
ホテルオークラ出身の総料理長が生み出す特別なメニュー
そのコラボによって実現した料理が、今宵味わえる。
スペシャルディナーのタイトルは、「島々に沈みゆくサガイティーラ 八重とせとうちの潮路をみつめながら」。サガイティーラとは、沖縄の言葉で、「下がる太陽=夕陽」のことだ。これを聞いただけで、どんな料理が運ばれてくるのかと想像をかきたてられた。
こちらの総料理長は、アメリカ大統領ら国賓も宿泊する名門『オークラ東京』(旧:ホテルオークラ東京、東京・虎ノ門)でフレンチの料理長を務めた高橋哲治郎さんだ。これを聞いた途端、よりいっそう料理への期待感が高まる。
食前酒をいただきながら最初に運ばれたオードブルは、“やえやまファーム”の食材を使った「ジャンボンブラン(豚のボイルハム)」と小豆島のアスパラガス、醤(ひしお=豆麹と麦麹を醤油に漬けて発酵させた調味料)とを融合させた“煮こごり”仕立ての一品だった。なんとも言えない美味しさが口の中に広がる。もちろん、ボイルハムは“やえやまファーム”で育てられた「南ぬ豚(ぱいぬぶた)」だ。
「南ぬ豚」の餌は「パイナップル」の搾り粕
南ぬ豚(ぱいぬぶた=南の島の豚)とは、 アグー豚(沖縄のブランド豚)の一種で、やえやまファームが飼育する石垣島産の豚だ。肥料は通常のエサのほかに、”おやつ”として石垣島産のパイナップルから搾汁した“搾り粕”を発酵させたものを与えているそうだ。この方法は「やえやまファーム独自」のもので、“稀有なやわらかい肉質”と旨さを作り出しているという。
一般的な豚の大きさは、成体で120kg前後なのに対し、南ぬ豚は90kg前後と小柄だ。そして、成育するまでには一般的な豚が6カ月なのに対し、7~8カ月を必要とするのだとか。一頭一頭を丁寧に育てているため、多くの数を出荷することができない希少な豚だという。こうした理由から、この“南ぬ豚”を取り扱う料理店は極わずかという。
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