保存された「レンガ車庫」外壁の一部
2023(令和5)年に解体されるまでの110年間にわたり大井町の地に鎮座していた「レンガ車庫」は、大井町地区の再開発計画のなかで、外壁の一部保存のほか、レンガ車庫の一部をそのままに地域のシンボルとして活用する案もあったが、残念ながら実現には至らなかった。
保存展示される「レンガ車庫」の外壁の一部は、大井町トラックスのビジネスタワー1階にある交通広場「北ロータリー」に移築・保存された。この場所は、大井町トラックスのなかでも少々わかりにくいところにあるためか、訪れる人はまばらだ。みずほ銀行(みずほのアトリエ大井町)が目印となるだろう。ロータリーは将来、バスターミナルとなる計画だが、現在はバスの発着は行われていない。現地にある説明板には、レンガ車庫としか記載がなく、この建物が”御料車庫”であったことにはふれられていなかった。
ロータリーの向かい側(ビジネスタワー1階)にある「ステーションコンファレンス」では、大井町トラックスのグランドオープンを記念して、期間限定(~令和8年4月12日まで)の企画展「LAYERS OF STORY~車両基地と工場と人々の100年~」が行われている。懐かしい大井町駅周辺の街並みを記録した写真や、鉄道工場に関する写真や映像、物品などが展示される。
そのなかには、レンガ車庫(御料車庫)の3D測量データを活用した没入型映像体験による「御料車庫内の模擬見学(空っぽの庫内を模擬見学)」ができるコーナーもあるが、残念ながらこの展示のみ撮影・録画を禁止している。そのほか、電車などをデザインしたスタンプを押してオリジナルのトートバックまたはサコッシュ(1日限定80個/企画展開催期間中の毎日)が無料で作れるワークショップも併設されている。
新しい街、大井町トラックスを訪れた際には、ショップ&レストランやシネマも魅力的だが、せっかくなので「レンガ車庫」の歴史にも思いを馳せてみてはいかがだろうか。




文・写真/工藤直通
くどう・なおみち。日本地方新聞協会特派写真記者。1970年、東京都生まれ。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物に関連した取材を重ねる。交通史、鉄道技術、歴史的建造物に造詣が深い。元・日本鉄道電気技術協会技術主幹、芝浦工業大学公開講座外部講師、日本写真家協会正会員、NPS会員、鉄道友の会会員。















