日本にも数あるナポリピッツァの店は、どう選ぶ?今回はその界隈の達人(=プロの追っかけ?!)、文筆家・井川直子さんに、“推し”目線でセレクトいただきました。キーワードは「職人」です。
職人を推してくれた人:井川直子さん
いかわ・なおこ/文筆業。食と酒を巡る人を中心に、エッセイ等を執筆。本誌隔月連載「女将のいる場所」執筆のほか、著書に『ピッツァ職人』(ミシマ社)、『小さな店をつくりたい 好きな仕事で生きる道』(家の光協会)などがある。
生地の旨さにごまかしが効かないナポリ最古のピッツァ『pizzeria GG(ピッツェリアジージー)』@吉祥寺
ナポリで修業したふたりのピッツァ職人、中村拓巳と河野智之が、味も価格も雰囲気も”ナポリそのままのピッツェリア”として、2007年に創業した草分け的存在。ナポリの伝統に忠実な、クラシックなラインナップが中心。
マストゥニコーラ1400円
井川さん曰く「行くたびに工夫され生地が軽くなっていて、しっかり旨みが味わえる粉や熱の入り方、余韻が堪能できます」
店主:中村拓巳さん「窯と向き合ってその日ベストなポイントを探します」
16歳でナポリピッツァを食べて感動し、17歳でピッツェリアで働き、18歳でナポリに飛んだ生粋のピッツァ職人。本場ナポリの伝統的製法や楽しみ方のスタイルを広めた立役者のひとりだ。薪窯の温度を首の皮膚で敏感に感じながら焼く独自のスタイル。
【IKAWA’S EYE】
中村さんの「焼き」は誰にも真似ができません。窯と対話するのが上手な人。薪火の熱を一気に吸い込んで立ち上がった縁とか自由な焼き色、トマトソースも、生き物のように感じられて、狙った一点に着地している。そんな「焼き」をぜひ味わってほしいです。
[店名]『pizzeria GG(ピッツェリアジージー)』
[住所]東京都武蔵野市吉祥寺南町1-17-1プレジール地下1階
[電話]0422-26-5024
[営業時間]11時半~15時半(14時50分LO)、18時~22時(21時20分LO)、土・日・祝:11時半~22時
[休日]不定休
[交通]JR中央線ほか吉祥寺駅南口から徒歩3分
ビート感あり!見た瞬間食べたくなる1枚『PIZZERIA IL TAMBURELLO(ピッツェリア イル・タンブレッロ)』@小伝馬町
マラドーナが描かれた大きなタンブレッロ(タンバリン)や青を基調とした空間、現地製の薪窯。食材も基本現地産。「僕がナポリで感動したことを感じてほしい」(大坪さん)という思いを込めて2010年にオープンしたピッツェリアだ。
マリナーラ1500円
「ピッツァ職人は演者だとも思う」というように、音楽を奏でるように生地を伸ばし、焼く、その所作も見どころ。
店主:大坪善久さん「薪窯の前に立つと元気が出て1日楽しめます」
昨年、ナポリピッツァ世界選手権(カプート杯)のSTG部門で世界一に。マリナーラを焼いての優勝は同部門でも初の快挙。マリナーラはシンプルであるがゆえに人が出るといい、どう火が入るか、溶けるか。こだわりのトマトソースは薪窯の中で仕上げるイメージだという。
【IKAWA’S EYE】
色っぽさと男っぽさの同居したピッツァを焼く人です。軽いんだけど、スカッと焼けていて食べたあとのキレがある、爽快感ある味わい。大坪さんのマリナーラは、実はよく考えられているんですが、さりげなく洒脱。所作も洗練されてズルい男です(笑)
[店名]『PIZZERIA IL TAMBURELLO(ピッツェリア イル・タンブレッロ)』
[住所]東京都中央区日本橋堀留町1-2-9DIGDUG1階
[電話]03-6661-6628
[営業時間]11時半~14時(13時半LO)、17時~22時(21時LO)※火曜は夜営業のみ
[休日]日・月
[交通]地下鉄日比谷線小伝馬町駅3番出口から徒歩3分
ペロリとお腹に入っていく楽しいピッツァ!『Pizzeria e Trattoria da ISA(ピッツェリア エ トラットリア ダ イーサ)』@中目黒
「多い日は1日500~800枚は焼きます」。
ナポリ製の大きな薪窯で山本尚徳さんの焼く姿が見える店内は、明るく、活気にあふれ、まさしくナポリの下町にあるピッツェリアのよう。15年愛された店舗から2024年、目黒川沿いに移転。席数も増えて賑わっている。
パンナ・コット・エ・マイス2970円
「山本さんは料理人でもあったので、料理メニューも楽しく、おいしいです」(井川さん)
店主:山本尚徳さん「ワイワイ楽しく ピッツァってそういうものです」
ナポリの名店『イル ピッツァイオーロ デル プレジデンテ』で修業。2007、2008年とナポリの世界ピッツァ選手権で2年連続世界一に。翌年も入賞し、3年連続入賞は史上初。ライブ感抜群のクラシックなピッツァが得意。
【IKAWA’S EYE】
偉大なピッツァ職人だった、故エルネスト・カチャッリさんの晩年の弟子。師の教えを正しく継承するピッツァは、今やナポリでも貴重です。生地とソースが一体化した彼のピッツァはツルッと食べられる。ペロリという言葉は山本さんのためにあります。
[店名]『Pizzeria e Trattoria da ISA(ピッツェリア エ トラットリア ダ イーサ)』
[住所]東京都目黒区青葉台1-14-17
[電話]03-6427-0739
[営業時間]11時半~14時、17時半~22時(21時半LO)
[休日]月、第2・4火(祝日は営業)
[交通]東急東横線ほか中目黒駅西口から徒歩8分
ジュルふんわり繊細な完成度に脱帽のおいしさ『PER TE(ペルテ)』@溜池山王
人気絶頂の中、稲毛の『ペルテ』が閉店したのは2024年3月。充電期間を経て、2025年5月にピッツァをスペシャリテ、コースの主役として楽しむという新コンセプトをまとったリストランテとして溜池山王に復活。
マルゲリータ500※コース(13800円)より
さらに進化した生地には米麹パウダーも使うなど、驚きのある5種類のピッツァが登場する。表現者・鈴川充高さんの新たな挑戦だ。
シェフ:鈴川充高さん「毎日粉と向き合っています」
2018年ナポリピッツァ世界選手権(カプート杯)日本大会にマルゲリータで優勝。ナポリ・イスキア島で修業したナポリピッツァのみに留まらず、粉に関する知識をボーダレスに取り入れながら、前進を続けるピッツァ職人。
【IKAWA’S EYE】
フランスで薪窯パンも学んでいたり、鈴川さんは”粉使い”の人です。おいしくなるためなら何をも厭わないので、彼のピッツァはオリジナル性が高い。じゃんじゃん焼くピッツァではなく、1枚の精度を高めたピッツァ。今はさらに研ぎ澄まされた感じです。
[店名]『PER TE(ペルテ)』
[住所]東京都港区赤坂2-12-33赤坂永楽ビル1階
[電話]03-5545-5255
[営業時間]17時半~23時(コース一斉スタート・2回制)
[休日]日・月
[交通]地下鉄南北線ほか溜池山王駅11番出口から徒歩3分






























