芳醇なスパイスの香りに粗めのひき肉、控えめなトマトの酸味も
カレーを一口頬張ってみると、口の中一杯にスパイスの芳醇な香りが広がり、その完成度に驚かされた。約20種類のスパイスを使用しているそうだが、『エリックサウス』で味わうカレーと同様に複雑な辛味のレイヤーが感じられ、最早ファミレスとは思えない、奥行きのある味わい。粗めに挽かれた鶏ひき肉の肉々しい食感と風味が力強さを添え、トマトのさり気ない酸味が全体を爽やかにまとめている。
「通常の南インド風キーマカレーは、スパイスで素材本来の風味を引き出しているところが特徴的で、油脂が少なくサラっとした食感です。一方、日本の家庭では小麦粉を使用したとろみがあるカレーが一般的。そのため、南インド風カレーに馴染みのない方でもおいしく食べていただけるよう、粘度を調整し、ほどよいとろみをプラスしました。ひき肉はごろっとした肉粒を残し、噛むほどに豊かな食感と風味が広がるように仕上げています」と語るのは、株式会社デニーズジャパン商品部・料理長の大久保友佑さんだ。
確かに、『エリックサウス』のカレーの質感とは異なり、濃厚かつややとろっとした食感だ。とはいえ、この間口の広さを感じさせる絶妙なアレンジは実に見事である。
自分好みに味変を楽しむ、独自の“ミールススタイル”
さらに今回驚いたのが南インド料理専門店では鉄板の、ライスを囲むように複数のカレーや副菜を盛り付ける「ミールス」スタイルが、独自の形で表現されていること。通常はカレーとともにラッサム(酸味を利かせたスパイススープ)やパパド(豆せんべい)、ヨーグルト、アチャール(漬物)などが一皿に盛られているが、ファミリーレストランでひと味違った形でお目にかかれるとは思ってもみなかった。
「デニーズならではのスタイルで、料理を組み合わせることの楽しさを伝えられないかと考えました。そうやって生まれたのがD’sミールスというオリジナルのスタイルです。それぞれの料理を単独で食べたり思い思いに組み合わせて食べたり、食べ進めれば食べ進めるほどおいしくなっていく、そんな体験ができるものに仕上がっているのではないかと思います」と、稲田さん。
まずはカレーとライスだけでひと口!その後はライスの上に添えられたパリパリのフライドトルティーヤを崩して食感をプラスしたり、トマトの酸味がたまらないラッサム、爽やかなヨーグルトを加えたりして、自分なりの味変を楽しもう。ラストは、残ったカレーやスープをすべて混ぜ合わせ、スパイスの調和を楽しむのもおすすめの食べ方なのだとか。



