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わずかに残る下賜の記録

12両あった誉れ高きデゴイチは、そのほとんどは解体されており、現在では3両だけが公園などで保存されるにとどまる。D51853号機が東京都北区飛鳥山公園に、D51862号機は東京都町田市すみれ会館に、D51921号機が長野県長野市篠ノ井支所に現存する。

いずれも、当該部品(安全弁)の外観上には、「御下渡」や「下賜」といった由来を示す文字などの刻印は記されていない。唯一、鉄道省が作成した文書にのみ「御下渡」の文字が見られるが、残念ながら一般には公開されていない。

こうした記録が宮内庁にも残されているのではないかと、宮内公文書館等にあたってはみたものの、発見には至らなかった。ただ、これと似たようなケースとして、1943(昭和18)年に木造船の建造を奨励したとして、御料林から切り出した材木を「帆柱」として“下賜”された記録は見つけることができた。

戦後81年。こうした先の大戦下の記録は、たとえ鉄道に属するものとはいえ、貴重な歴史的資料であるに違いない。

「御下渡金属」の文字を読み取ることができる新製当時(1943/昭和18年11月19日)に作成されたデゴイチに関する文書(非公開資料)=写真所蔵/筆者
1943(昭和18)年に木造船の建造を奨励したとして、御料林から切り出した材木を「帆柱」として“下賜”された記録=宮内公文書館蔵
白煙をあげながら山間部を駆け上がるD51形蒸気機関車=1992年12月、群馬県みなかみ町
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文・写真/工藤直通

くどう・なおみち。日本地方新聞協会特派写真記者。1970年、東京都生まれ。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物に関連した取材を重ねる。交通史、鉄道技術、歴史的建造物に造詣が深い。元・日本鉄道電気技術協会技術主幹、芝浦工業大学公開講座外部講師、日本写真家協会正会員、NPS会員、鉄道友の会会員。

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