英国焼菓子の絶対王者「スコーン」。その陰に隠れながらも、今、じわじわと人気を高めている焼菓子があるのをご存知ですか? 英国焼菓子界のダークホースとも言えるその名は「ウェルシュケーキ」。今年も開催される 「日本橋三越 英国展」に合わせて、魅力をご紹介します。
素朴な味があと引く旨さ
今年も日本橋三越で英国展が始まります!
日本橋三越の英国展といえば毎年大盛況のイベントで、特にスコーンを目当てに訪れようとしている方も多いのではないでしょうか。英国といえばスコーンが有名。ですが、ここに来てじわりじわりと人気を集めている焼き菓子があります。
それが「ウェルシュケーキ」。
ウェルシュケーキは英国、ウェールズを代表する伝統的なお菓子。「ケーキ」と名はついていますが、オーブンではなくグリドル(鉄板)で焼くのが特徴で、ウェールズの家庭で親しまれてきた昔ながらの素朴なお菓子です。
見た目は丸く平たい、ビスケットのようなパンケーキのような飾り気のない佇まいをしていて、食べてみると、外側は香ばしく、中はしっとりほろほろでやさしい甘さ。ソフトクッキーとスコーンとパンケーキを合わせたかのような独特の食感をしています。
その素朴な味は、どこか懐かしく、ひとつ食べるとまたひとつ……とあと引く味わい。筆者は20年ほど前にウェールズを訪れた際に、このウェルシュケーキに出合いました。
ふらりと立ち寄った市場で、おばさまが売っていた、無造作にぎゅっとビニール袋に詰め込まれたそれを何の気なしに買い、ひと口食べてその素朴な味わいにどハマり。
ゆっくり食べようと思っていたビニール袋の中身があっという間に空になってしまったことを覚えています。
英国菓子店『Saeno Sweets』オーナーの椎名さえのさんも、そんな素朴なウェルシュケーキの魅力にハマったひとりです。
「英国のスーパーで初めて食べた時、素朴でシンプルな親しみやすい飾らないおいしさに惹かれました。派手さはないけれど何度でも食べたくなるんですよね」。
その後ウェールズを訪れ、現地のお店や家庭でさまざまなウェルシュケーキに出合い、その暮らしに根付いたウェルシュケーキの魅力に惹かれていきます。
「日本ではまだあまり知られていないこの素朴なおいしさをぜひ多くの人に知ってもらいたい」と販売も始める傍ら、今でも時おりウェールズを訪れ研究を重ねます。
「ウェルシュケーキは材料がシンプルだからこそ、ひとつひとつの素材の風味や焼き加減が味を左右し、作る時は気が抜けません。大切にしているのは鉄板で焼いた外側の香ばしさと中の食感です。外側はほんのり香ばしく、中はほろっとを意識しています」
現地の方に教わったレシピを元に、派手なアレンジは加えず、あくまでもウェールズの家庭の素朴なお菓子らしさを大事にすることが、さえのさんのこだわりです。

