旬の食材は食べて美味しいだけではなく、栄養もたっぷり。本コーナーでは魚や野菜、果物など旬食材の魅力をご紹介します。
さて、今回のテーマとなる食材は?
文/おと週Web編集部、画像/写真AC
■田んぼに潜む
正解:どじょう
難易度:★★☆☆☆
江戸っ子の滋養食
どじょうは夏を告げる魚とも呼ばれているとおり、夏が旬の淡水魚です。
旬のうなぎは、身が柔らかく脂がのって美味。うなぎに劣らないほど滋養があり手頃な価格で手に入ることから、江戸時代には庶民の滋養食として愛されていました。
生息地は田んぼや湿地の底。そのため、採取後にしっかり泥を吐かせる必要があります。どじょうを容器に真水を入れ、その中で3日から1週間ほど泳がせておくと泥を吐き出します。
養殖ものは、基本的には出荷前に泥抜きが済んでいます。ただし、すべてではないため、念のため購入するときには泥抜き済みかを確認しましょう。
どじょうは泥臭いと敬遠する人も多いのですが、しっかり泥抜きをしたものなら臭みはあまり感じられません。とくに、養殖のどじょうであれば臭みはほとんどないので、から揚げなどのシンプルな味付けの料理でも、美味しくいただけます。
どじょうを使った代表的な料理といえば「どじょう汁」や「柳川鍋」。これらは東京の郷土料理とされています。
どじょう汁には、生きたどじょうを丸ごと煮たった酒の中に入れ、割り下とともに鉄鍋に入れて煮込んだ「丸鍋」と、背開きにして骨抜きしたどじょうをごぼうと一緒に煮込んだ「ぬき鍋」の2種類があります。
いっぽうの「柳川鍋」は開いたどじょうを割り下で煮込み、笹がきしたごぼうとともに卵とじにした料理です。
柳川なべといわれると東京のイメージがありますが、実は、福岡の筑後地方(柳川市)の郷土料理でもあります。
「柳川」という名前も、柳川鍋を作る際に使う平鍋に柳川で焼かれた土鍋を使っていたことに由来するという説があります。ほかにも、江戸日本橋もしくは浅草千束村の小料理屋の屋号とする説など、名前の由来には諸説あります。