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2025年も10月に入り、北国から紅葉の便りが届く季節になりました。旅好きの筆者もあちらこちらの紅葉の名所に訪問していますが、忘れられない景色が宮城県に2か所あります。一つが、鳴子温泉の近く、峡谷の深さが100メートルもある「鳴子峡(なるこきょう)」。峡谷にかかる国道47号大深沢橋の近くにはJR陸羽東線が走っており、トンネルを抜けた列車と紅葉を写真に収めることができる有名なスポットがあります。もう一つが仙台市中心部にある勝山(かつやま)公園です。1914(大正3)年にできた市内では3番目に古い公園で、真っ赤にそまったカエデやモミジの間からのぞく日差しのなんと美しいこと。皆さまもぜひ鳴子や勝沼公園にいらしてください。素敵な景色にびっくりすること間違いなしです。さて、仙台シリーズの第3回は「びっくりなお店」特集です。店名、外観、食事、などなど、仙台にはあっと驚くお店が数多くあります。今回はぜひ皆さんに訪問していただきたい「びっくりなお店」、4店をご紹介します。

勝山公園(2002年11月17日撮影)
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まさに店名が『びっくり』でメニューがない!筆者がよく通った居酒屋です

最初に取り上げるのは、まさに店名が『びっくり』というお店です。そんなお店があるものですね、びっくりします(笑)。場所は仙台駅の東サイド、名掛丁藤村広場(なかけちょうとうそんひろば)の前にあります。

20年ほど前に筆者が仙台に住んでいた頃、よく通ったお店で、先日久しぶりに訪問してきました。その当時でも高齢だった女将は未だにかくしゃくとお店を切り盛りされていました。当店のびっくりポイントは店名に加え料理です。まずメニューがない。あるにはあるのですが、ほとんどの常連客は女将さんのお薦めのままに食事を頼みお酒を傾けます。「あうんの呼吸」が実に美しくびっくりなお店です。

びっくり

基本的に韓国料理が多いようです。「はい、めんたい」と最初に出てきたのはどうも魚のキムチ?。常連客の会話を聞いていると、スケトウダラ(明太子の親魚)のピリ辛のようです。明太子の親だから「めんたい」か。びっくりしました。スルメのようなコリっとした触感と辛みがよく合います。

びっくり(めんたい)

続いて女将が薦めてくれたのがセンマイ刺し。辛いタレが何とも言えず、マッコリともよく合います。最後は宮城名物のホヤ。キムチなのか辛味和えなのか判別がつきませんが、美味しいので料理名は何でもよくなる「びっくりさ」であります。こんな感じで、まぁ最初から最後までびっくりのお店です。それが理由で店名も「びっくり」になったのか、名物女将のみぞ知る、ですね。

びっくり(センマイ刺し)
びっくり(ホヤ)

ちなみに名掛丁藤村広場は、文豪・島崎藤村(1872~1943年)が由来で、「日本近代詩発祥の地」の記念碑があります。藤村は、1896(明治29)年、教師として仙台に赴任し、約10カ月暮らしますが、下宿したのがこの場所にあった旅館兼下宿屋の「三浦屋」。1897(明治30)年に出版された処女詩集『若菜集』には、仙台時代に作られた詩が数多く収められています。

びっくりなお店『びっくり』と近代日本を代表する作家である島崎藤村の面影が合うような合わないような。何ともびっくりな街角であります。

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ジューシーなモツ焼きがたまらない『佐喜乃』
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