うどん、ひやむぎ、そうめんの「麺の太さ」以外の違いとは?
パスタを考えると、原材料や製造法がほぼ同じでも、形状や大きさ・太さが異なれば食感や風味まで異なって感じられるというのは、理解できるところです。しかしそれでも、うどんとそうめんの違いが麺の太さの違いだけというのがどうも腑に落ちないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。その理由について考えてみます。
(1)「生めん」か「干しめん」か
うどんの場合は、乾めんは生めんに比べて味が落ちると言われています。一方、そうめんやひやむぎは乾めんの方が美味しいと言われる傾向があります。
うどんでは、生うどんのコシやソフトな弾力などを乾めんで再現することは難しいようです。そのため干しうどんの製造では、タンパク成分の含量を低くしたり、ゆであがり時間を短くするためにデンプンを混合することもあるそうです。うどんは太いため、乾燥に時間がかかることもマイナスです。
また、乾めんは製造後の保存期間が長くなると食感が硬くなるため、めんが太いうどんではそれがマイナスとなりますが、そうめんやひやむぎのように細いめんの場合は、それがプラスにはたらきます。一年越しの手延べそうめんは古品(ひねもの)と称し、そうめんの中でも一番美味しいものとして昔から美食家たちに珍重されていると言います。
以上のことから、うどんでは生めんが好まれ、そうめんやひやむぎでは乾めんが好まれます。
(2)原材料の違い
うどん、ひやむぎ、そうめんのおもな原材料は「小麦粉」、「食塩」、「水」です。ただしそうめんの場合は、製造中に細く引き伸ばす工程で、めん生地間の付着やめん生地の乾燥を防止するために、少量ですが食用植物油を塗布するのが一般的です。逆にうどんの原料に植物油を加えることは基本的にありません。
また、めんの太さの違いは、使用する小麦粉の違いにも影響します。細目のめんでは硬い食感が得られる小麦粉を使い、太目のめんではソフトな食感を得られる小麦粉を使用するのが普通です。それが食感だけでなく、風味の違いも生み出します。