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(3)「手延べ」かそうでないか
食品表示基準では、「干しめん」と「手延べ干しめん」とは、区別して表示することが義務付けられています。「手延べ干しめん」はつぎのように規定されています。

『干しめんのうち、食用植物油、でん粉又は小麦粉を塗付してよりをかけながら順次引き延ばしてめんとし、乾燥したものであって、製めんの工程において熟成が行われたものであり、かつ、小引き工程又は門干し工程においてめん線を引き延ばす行為を手作業により行ったものをいう。』(食品表示基準より抜粋)

「手延べ」というと「手作業で行うもの」というイメージがあるかもしれませんが、機械化の進んだ現在では、工程のすべてを手作業で行う生産者はほとんどいません。ただし小引き工程または門干し工程では手作業が求められます。

※小引き工程:かけば工程(よりをかけ、交差させつつめん線を平行かんにかけること)を経ためん線を引き延ばすこと
※門干し工程:乾燥用ハタを使用してめん線を引き延ばしてめんとし、乾燥させること
(参考[5]に写真付きの説明があります)

手延べのポイントは、ねじるように縒(よ)りをかけながら、細く引き伸ばしていくというところです。また、その工程の間に、何度も熟成を重ねます。こうして手間暇をかけて作られた手延べめんには、機械で細く裁断された機械麺とはまったく異なる独特のコシや歯切れ、風味が生まれるのです。手延べでないそうめんは「細いうどん」とも言えますが、手延べそうめんは、それとは別物であると考えた方が良いでしょう。

ちなみに、平成24年度の手延べ干しめんの生産量のうち、約90%が手延べそうめんとなっています(参考[4])。

いかがでしょうか。うどん、ひやむぎ、そうめんの区別は、めんの太さの違いによるものですが、それはあくまで規格上の話です。実際には、ここで取り上げたような違いや、食べ方の違い(うどんは熱いのが好まれ、そうめん・ひやむぎは冷たいのが好まれる)などにより、それぞれ独特の味わいの違いが生み出されているのです。

(参考)
[1] 食品表示基準
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=427M60000002010
[2] 生めん類の表示に関する公正競争規約
https://www.jfftc.org/rule_kiyaku/pdf_kiyaku_hyouji/noodles.pdf
[3] 日本農林規格 手延べ干しめん(農林水産省)
kikaku_itiran2-352.pdf (maff.go.jp)
[4] 日本農林規格の改正について「手延べ干しめん」(農林物資規格調査会)
日本農林規格の改正について「手延べ干しめん」 (maff.go.jp)
[5] 揖保乃糸の特色(兵庫県手延素麺協同組合)
https://www.ibonoito.or.jp/feature/work.html

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圓岡太治
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