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「串は手元で1ミリ動いたら、先は1センチ動くからね」

武「特に印象に残った店は?」

池「名店なら『鰻家』。この道70年で今も焼き場に立つご主人に手を見せてもらったんだけど、いい手をされていたなあ。指に焼きダコがあって、ずっと串を支えてきた歴戦を感じさせる手なんだよ。『串は手元で1ミリ動いたら、先は1センチ動くからね』とか、『昔は“白焼き百遍”といって百回返して焼くように教わった』とか。それが驚きのとろけ具合につながるんだなあ、なんて思いながら話を聞くのが楽しかった」

肥「わかる。私も『すが原』のこだわりに興味津々だった。この店のうなぎ、2時間という驚愕の蒸し時間なんだけど、それって余分な脂を落とし切るため先代が磨いた技なんだって。そこまで蒸すと身が崩れると思うでしょ。でも通常の倍の串を使う串打ちと焼きの技で仕上がりはきれいだし、嫌な脂っこさがない。うなぎってモノによっては胃もたれすることも多いけど、ここは一切ナシ。脂が苦手という人におすすめしたい」

武「旨さを追求する方向性はどの店もほぼ同じなんですが、やはり店主の考えや理想のスタイルには違いがありましたね。僕は今回、(1)蒸し時間の長短(2)焼き時間の長短(3)ご飯の硬さ(こだわり)(4)タレの味(濃い・甘い・さっぱりめ)に注意して調査しました。その4点を気にして食べ比べると自分の好みがわかると思う。好みの味を知っておくと店選びも迷いにくく、結果、財布のためにもベターでは。個人的には蒸しがやや長めで、身を崩さぬよう熟練の技で香ばしく焼いたものが好きかな」

肥「おと週初登場の『宇のじ』と『すが原』がアナタのお気に入りだったよね。しかもブランド『坂東太郎』を仕入れる『宇のじ』は取材そのものも初めてだそう。よくぞ方南町という地味な(笑)エリアで見つけたよね。発掘感があった」

武「お酒がそこそこ揃ってることと、うなぎ以外の肴もあることも僕が好きなポイント。それらをつまみながら、うな重が完成するまでの時間をゆるゆる過ごすのがいいんだよなあ。てことで、先の4点に加えて、店の雰囲気を見つつ、自分の好みに偏らないように判断したのが今回の掲載店。ふわふわ食感が好きな人にも、濃厚な味わいがいい人も、さっぱり食べたい人も、それぞれ違うタイプで満足のいく店が掲載されているのではないかと思います」

(後編に続く)

『おとなの週末』2022年8月号

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おとなの週末Web編集部
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