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1969年、埼玉・所沢での合宿

1969年になるとPANTAは自分のバンドを組みたいと思い始めた。生まれ故郷の埼玉県所沢で合宿をすると打ちあけられた。お前も参加しないかと誘ってくれたが、ギター演奏に自身の無かったぼくは断った。もし、この時にPANTAの誘いに応じていたら、自分の人生はどうなったかなと時々考えたこともあった。

2003年にぼくがプロデュース、インタビューを行った『頭脳警察(パンタ&トシ)~スタジオライブ&インタヴュー』というDVDが発売された。その中でPANTAは、“この席~ミュージシャンの席~にお前が座って、インタビュアーの席に俺が座っていたかも知れない”と語っていた。

所沢にて合宿を始める前にPANTAは“過去の歴史から俺達は飛び出さなければ…”と言っていた。ある時期、学生運動とも深く関わり、ある時期、いわゆるザ・芸能界の音楽とも深くかかわったPANTAのこの言葉は、彼のその先の人生への決め文句だった気がする。そして所沢に戻ったPANTAは頭脳警察を結成して、シーンに帰って来た。

2020年代の現在、J-POPとかJ-ROCKという言葉が当たり前のように使われている。そのルーツは今から50年以上前に結成された頭脳警察、その後に形となった大滝詠一、細野晴臣、松本隆、鈴木茂によるはっぴいえんどに遡る。このふたつのバンドが誕生したからこそ、J-POPの今があるのは間違いない。

頭脳警察のアルバムの数々。発売禁止になった1972年の幻のデビューアルバム『頭脳警察1』(中央上)は21世紀になって再リリースされた

岩田由記夫
1950年、東京生まれ。音楽評論家、オーディオライター、プロデューサー。70年代半ばから講談社の雑誌などで活躍。長く、オーディオ・音楽誌を中心に執筆活動を続け、取材した国内外のアーティストは2000人以上。マドンナ、スティング、キース・リチャーズ、リンゴ・スター、ロバート・プラント、大滝詠一、忌野清志郎、桑田佳祐、山下達郎、竹内まりや、細野晴臣……と、音楽史に名を刻む多くのレジェンドたちと会ってきた。FMラジオの構成や選曲も手掛け、パーソナリティーも担当。プロデューサーとして携わったレコードやCDも数多い。著書に『ぼくが出会った素晴らしきミュージシャンたち』など。 電子書籍『ROCK絶対名曲秘話』を刊行中。東京・大岡山のライブハウス「Goodstock Tokyo(グッドストックトーキョー)」で、貴重なアナログ・レコードをLINN(リン)の約400万円のプレーヤーなどハイエンドのオーディオシステムで聴く『レコードの達人』を偶数月に開催中。最新刊は『岩田由記夫のRock & Pop オーディオ入門 音楽とオーディオの新発見(ONTOMO MOOK)』(音楽之友社・1980円)

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