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日本三景を眺める風光明媚なブドウ農園

さらに北上し、次に訪れたのは天橋立で有名な宮津。もうひとつの京都ワインは、天橋立を望む海沿いにブドウ畑が広がる『天橋立ワイナリー』。

「ワインは未知の飲み物だった」と語るのはオーナーの山﨑浩孝さん。学生時代、アメリカ旅行中に出合ったワインに心奪われ、その気持ちを忘れることができず1985年に小樽の『北海道ワイン』に入社。ワインづくりのノウハウを学び、1999年『天橋立ワイナリー』を設立。

ドイツのケラーマイスター(醸造責任者)の指導を受けドイツ式ワイン醸造技術を習得。『北海道ワイン』の協力を得て2001年から京都産のブドウと『北海道ワイン』のブドウを使用することで醸造がはじまります。

宮津の町からクルマで15分ほど。阿蘇海沿いにブドウ園が見えたらそこが『天橋立ワイナリー』。ワイナリーとワインショップのほか、地元の農産品を直売するマルシェ、米粉のパン工房を併設する。
海の目の前だが穏やかな内海のためか、特に塩害などは確認されない。木の根本には天橋立から回収する牡蠣殻を敷き詰め、土壌改良に役立てている。
「北海道ワインの会長に言われ、ラッキーな成り行きでのワイナリー設立でした」と話すオーナーの山﨑浩孝さん
園を案内してくれた天橋立ワイナリーの藤原邦彦さん。現在は20品種ほどをテスト中とか。そのうち5~6種が商品となる。
収穫を待つブドウたち。「雨が降ると実が割れる可能性があるので、ここまで育ったらあとは天気の心配だけです」と藤原さん。

初めて植えたのはセイベルという品種。香りがきれいで味のインパクトは強くない。和食との相性がよく、素材の味が楽しめるワイン。「2003年から商品化、売り上げは2010年くらいまではよくてトントン。軌道に乗ったのはその後でした。アメリカの9.11同時多発テロが起こって国内旅行の需要が増し、その行き先としてローカルなワイナリーが注目されたんです」

“ワインづくりはブドウづくりから”を合言葉に、世界中のブドウのクローンを何年もかけてチェックしながら、日本で生き残れる品種を探し続けているという山﨑さん。2019年にはジョージア原産のサペラヴィ種単体のワインを醸造。酸味の強い品種のため、完熟して酸味が落ちた状態で収穫しているのだとか。「“畑でワインをつくる”という感覚です。ワインづくりは、ブドウがたくさん収穫できればいいというものでもないんです」

熟成樽は地下のセラーに。1樽でボトル300本分。オーク材の樽はローストの度合いがワインの風味にも影響するため、いろいろとテストしているそう。
近年力を入れているサペラヴィ種を使用したワイン。左〈茜・辛口 2020〉(2,695円・税込)は、サペラヴィにセイベル13053やマスカトベリーA、ヤマソーヴィニヨンをブレンドした1年熟成の辛口赤ワイン。右〈特撰サペラヴィ樽熟成・赤・辛口〉(4,400円・税込)はサペラヴィ100%でオーク樽と瓶内で熟成。樽由来のロースト香にしっかりした酸、深い余韻が味わえる。
果汁から発酵して数日しかたっていない無濾過のベビーワイン、〈フェーダーロータ〉(200円・税込)。醸造所でしか味わえない楽しみだ。
天橋立と阿蘇海を一望するレストランで丹後の食材を使ったビュッフェランチ。微発泡の辛口ロゼワイン〈茜スパークリング〉とともに。ビュッフェは、大人1,700円、小学生850円、幼児(4~6歳)530円(すべて税込)
別館のマルシェでは地元農家の野菜や果物、お米など食材も直売。
別館マルシェに併設されたパン工房『ぶどう畑のパンや』は、丹後産コシヒカリ米粉を使ったもちもち食感の米粉パンが人気。

実は山崎さんはあまりお酒に強くない。「もちろんテイスティングはします。でも飲まないですね(笑)」。そんな山崎さんは天橋立で江戸中期から続く宿の後継者。その宿は2000年にオーベルジュとしてリニューアルされ、ワイン好きが高じて集めた6万本ものワインコレクションからの1本とおいしい料理とのマリアージュが楽しめるのだとか。
これは伺わないわけにはいかないのです。

……後編に続く

丹波ワインハウス事業株式会社

住所/京都府船井郡京丹波町豊田千原83
電話/0771-82-2003
営業時間/ ワインショップ 10:00~17:00(木曜定休、9月~12月は無休)
備考/ワイナリーツアーは土・日・祝日の11:00〜、14:00〜。参加費1,000円(テイスティング代、消費税込)※3日前までの事前予約制

天橋立ワイナリー

住所/京都府宮津市国分123
電話/0772-27-2222
営業時間/工場見学・ワインショップ 10:00〜17:00、レストラン 11:00〜14:00(L.O.) 14:00〜17:00(カフェタイム)※平日のみ11:00〜17:00でカフェも利用可
定休日/水曜

編集/エディトリアルストア
取材・執筆/成田孝男、渡辺美帆
写真/名取和久

※情報は令和4年9月21日現在のものです。

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おとなの週末Web編集部
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