日本三景を眺める風光明媚なブドウ農園
さらに北上し、次に訪れたのは天橋立で有名な宮津。もうひとつの京都ワインは、天橋立を望む海沿いにブドウ畑が広がる『天橋立ワイナリー』。
「ワインは未知の飲み物だった」と語るのはオーナーの山﨑浩孝さん。学生時代、アメリカ旅行中に出合ったワインに心奪われ、その気持ちを忘れることができず1985年に小樽の『北海道ワイン』に入社。ワインづくりのノウハウを学び、1999年『天橋立ワイナリー』を設立。
ドイツのケラーマイスター(醸造責任者)の指導を受けドイツ式ワイン醸造技術を習得。『北海道ワイン』の協力を得て2001年から京都産のブドウと『北海道ワイン』のブドウを使用することで醸造がはじまります。
初めて植えたのはセイベルという品種。香りがきれいで味のインパクトは強くない。和食との相性がよく、素材の味が楽しめるワイン。「2003年から商品化、売り上げは2010年くらいまではよくてトントン。軌道に乗ったのはその後でした。アメリカの9.11同時多発テロが起こって国内旅行の需要が増し、その行き先としてローカルなワイナリーが注目されたんです」
“ワインづくりはブドウづくりから”を合言葉に、世界中のブドウのクローンを何年もかけてチェックしながら、日本で生き残れる品種を探し続けているという山﨑さん。2019年にはジョージア原産のサペラヴィ種単体のワインを醸造。酸味の強い品種のため、完熟して酸味が落ちた状態で収穫しているのだとか。「“畑でワインをつくる”という感覚です。ワインづくりは、ブドウがたくさん収穫できればいいというものでもないんです」
実は山崎さんはあまりお酒に強くない。「もちろんテイスティングはします。でも飲まないですね(笑)」。そんな山崎さんは天橋立で江戸中期から続く宿の後継者。その宿は2000年にオーベルジュとしてリニューアルされ、ワイン好きが高じて集めた6万本ものワインコレクションからの1本とおいしい料理とのマリアージュが楽しめるのだとか。
これは伺わないわけにはいかないのです。
……後編に続く
丹波ワインハウス事業株式会社
住所/京都府船井郡京丹波町豊田千原83
電話/0771-82-2003
営業時間/ ワインショップ 10:00~17:00(木曜定休、9月~12月は無休)
備考/ワイナリーツアーは土・日・祝日の11:00〜、14:00〜。参加費1,000円(テイスティング代、消費税込)※3日前までの事前予約制
天橋立ワイナリー
住所/京都府宮津市国分123
電話/0772-27-2222
営業時間/工場見学・ワインショップ 10:00〜17:00、レストラン 11:00〜14:00(L.O.) 14:00〜17:00(カフェタイム)※平日のみ11:00〜17:00でカフェも利用可
定休日/水曜
編集/エディトリアルストア
取材・執筆/成田孝男、渡辺美帆
写真/名取和久
※情報は令和4年9月21日現在のものです。