京都でワイン。飲むだけではありません。京都の地でもワインづくり、やっています。しかも、テイスティングや見学などもでき、レストランも併設され……京都旅にぴったりなデスティネーションと言える場所。
そこで、ワイナリーを巡るショートトリップに出掛けてみました。
浴衣で楽しむ、美食とワインのマリアージュ
京都のワイナリー巡りを楽しんだ後は、ワインとおいしい食事との時間も楽しみたいものですね。天橋立の南端、文殊菩薩で有名な『智恩寺』の門前にある『ワインと宿 千歳 CHITOSE』は、『天橋立ワイナリー』のオーナーでもある山﨑浩孝さんが経営するオーベルジュ。
歴史は古く、宿としての記録は1680(延宝8)年までさかのぼります。約340年前に地元の4人衆が寺の許可を得て開いた、後に「四軒茶屋(しけんじゃや)」と呼ばれる茶屋がそのはじまり。江戸時代の旅ブームで4軒それぞれが茶屋とは別に宿を開業したたうちの一軒なのです。
旅館をオーベルジュにリニューアルしたのは2000年のこと。古びた旅館のあり方に想いを馳せていた山﨑さんは、ワインの視察で世界を回った折に郊外や田舎で地元食材を使った料理とワインでもてなすオーベルジュというスタイルに傾倒。
ただ、ほかのオーベルジュと違うのは温泉宿らしい浴衣でディナー。温泉でゆったりと心を解放した後に迎える美食とワインは格別です。主役はブルゴーニュを中心にオーナーが買い付けた世界的にも希少な6万本のワインコレクション。宮津と丹後地方の海の幸、山の幸をふんだんに使ったコース料理が極上ワインに伴走します。
「ワインを求めてくるお客様も多く、お目当てのワインが事前に決まっている場合はソムリエと相談しながら料理の味付けや内容を調整します。テーブルで決められたワインに対しても、できるだけ寄り添えるように味を加減しています」と料理長の山本哲生さん。コースは魚介と地野菜をたっぷり使った前菜、お造りにお椀、魚料理、肉料理が続き、ご飯や蕎麦で締める和洋折衷。
いろいろなワインを味わいたいのなら、オーナー厳選のフランスワイン3種のテイスティングセットやグラスワインを組み合わせてもよし。ロマネコンティなど目のくらむような最高級ワインからローカルワインまで。選択肢の多さに迷ったら遠慮なくソムリエに相談です。
今も外観は純和風。「海外の醸造家が遊びに来たときにもくつろげるように」と、旅館の面影は残しつつベッドやチェアなどこだわりの調度品が設えられている空間で、国内外のワインに酔い、日本海の美味に満たされ、ゆっくりと温泉に癒されて。なんとも幸せなひとときがここにはあります。