桜模様の入った透彫など流派によって趣が異なる刀装金具
鐔(つば)をはじめとした「刀装金具」の名品も並びます。江戸時代に熊本で発展したものを「肥後金工」と呼び、主な流派は林派、平田派、西垣派、志水派があります。永青文庫に所蔵される肥後金工の多くは護立の収集品で、叔父の長岡護美(ながおか・もりよし)(1842〜1906年)や、西垣四郎作らから譲り受けたものです。
室町時代に後藤祐乗(ごとう・ゆうじょう)から始まった金工師の家系・後藤家は、足利将軍家や織田信長、豊臣秀吉といった為政者(いせいしゃ)に幕末まで仕えました。銅に金や少量の銀を混ぜた「赤銅(しゃくどう)」の黒色の地板に、金で立体的な模様を描いた作風は「家彫(いえぼり)」と呼ばれ、格調高い美しさが珍重されました。
庶民の金工により自由な発想で発展していった、「町彫(まちぼり)」の逸品も鑑賞できます。