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かつて「偏差値29」から東大理科二類に合格した伝説の東大生がいました。杉山奈津子さんです。その日から十うん年……現在は、小学生から高校生までを指導する学習塾代表として、心理学から導いた勉強法を提唱しています。その杉山さんが、受験生を持つ親に贈る「言ってはいけない言葉」と「子どもの伸ばす言葉」。近著『東大ママの「子どもを伸ばす言葉」事典』から一部を抜粋し、入学試験シーズン真っただなかに集中連載でお届けします。

子どもにとってのメリット、デメリットを示す

公園で、「芝生に入らないでください」と書かれている立て札を見かけることがあります。しかし多くの人は、芝生に入ろうが入らなかろうが、自分にはあまり関係ないととらえてしまうでしょう。そのため、「こっちを通ったほうが近道だから」という安易な考えで、芝生に入ってしまう人が出てきます。

何かをしてほしいときは、その行為をすることによって、相手にとって明らかなメリットか、デメリットがあるのだと提示することが有効です。

もし、「強力な殺虫剤をまいたばかりなので、芝生に入らないでください」と書いてあったらどうでしょうか。「芝生の中に入ると、自分の肌に悪そうだ」という明確なデメリットが頭に思い浮かぶため、軽はずみな気持ちで中に入ろうとする人はいなくなるでしょう。

「親の要望=親の都合」と受け取られている

ストレートに、「こうしてほしい」と要望を伝えても、それは伝える側の都合によるものと受け取られやすく、さらっと流されてしまうことが多いです。ですから、行為の中にある相手のメリットやデメリットを提示することで、「他人事」ではなく、「自分事」だと受け取ってもらうことが賢い方法です。

早くお風呂に入ってほしいのに、子どもがテレビを見たり、ゲームをしたりで、なかなか動こうとしないケースを思い浮かべてください。

お風呂に入るのは、もちろん汚れを落とすために必要な行為です。しかし、親に言われたとおりの時間にお風呂に入ったからといって、自分にとってのメリットはそこまでありません。ですから、「早くお風呂に入りなさい!」と声をかけても、「よし、入ろう!」という気持ちにはならないのです。

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親からの指示を、子どもにとっての自分事に変える...
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おとなの週末Web編集部
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