独学で結果を出す「スモール・ステップ法」
マンツーマンで教わる場合は引っ張って行ってもらえるでしょうが、独学で結果を出す場合はどうすれば良いのでしょうか。
ひとつが、「スモール・ステップ法」です。そのやり方は、大きな目標に到達するまでの過程をいくつかの小さな目標に区切り、それらを順次達成していくことで大きな目標の達成に近づくというものです。
これはアスリートやビジネスマンなども行っている目標達成のための技法です。特に新しいわけではなく、受験生も無意識に行っている方法かもしれません。たとえば、夏休みの宿題で数学の問題が50問出たとしましょう。これを1日あたり5問、10日で終わらせようと計画するのがスモール・ステップ法です。
これだけ聞くと、当たり前のことじゃないかと思われるでしょう。しかし、問題はそれが実行できるかどうか。計画だけなら誰でも立てられますが、それを計画通りに実行している生徒はおそらく半数もいないでしょう。なぜなら、半数以上の生徒が、夏休みの宿題を計画通りにこなせず、休みの終わりの頃にあたふたするからです。
その原因の多くは、次のいずれか、あるいは両方です。
(1)小さな目標を必ず達成可能なものに設定していない
(2)設定した目標を必ず実行しようという強い意識がない
目標を1日5問に設定した場合、泊りがけで旅行に行ったら実行できないかもしれません。後ですれば出来ると思うかもしれませんが、その小さなほころびがだんだん広がり、大きなほころびとなるものです。
それを防ぐためには、目標をなるべく小さくし、必ず予定通りに実行することです。上記の例なら、1日あたり2問、25日に設定し直すのです。1日2問なら、旅先でも出来る量です。大事なことは、小さな目標を必ずこなしていくことです。
生徒の皆さんは上記に気を付けて、この夏休みに宿題を計画通りに実行できるかどうか、試してみてはいかがでしょうか。
【トレーニング受験理論とは】
一流アスリートには常に優秀なトレーナーが寄り添います。近年はトレーニング理論が発達し、プロアスリートやオリンピック・メダリストはプロトレーナーから的確な指導を受けるのが常識。理論的背景のない我流のトレーニングでは、厳しい競技の世界で勝ち抜けないからです。自学自習が勉強時間の大半を占める受験も同様です。自学自習のやり方で学力に大きな差が出るのに、ほとんどが生徒自身に任されて我流で行われているのが実情です。トレーナーのように受験生の“伴走者”となり、適切な助言を与えながら、自学自習の力=独学力を高めていく学習法です。
圓岡太治(まるおか・たいじ)
三井能力開発研究所代表取締役。鹿児島県生まれ。小学5年の夏休みに塾に入り、周囲に流される形で中学受験。「今が一番脳が発達する時期だから、今のうちに勉強しておけよ!」という先生の言葉に踊らされ、毎晩夜中の2時、3時まで猛勉強。視力が1.5から0.8に急低下するのに反比例して成績は上昇。私立中高一貫校のラ・サール学園に入学、東京大学理科I類に現役合格。東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。大学在学中にアルバイト先の塾長が、成績不振の生徒たちの成績を驚異的に伸ばし、医学部や東大などの難関校に合格させるのを目の当たりにし、将来教育事業を行うことを志す。大学院修了後、シンクタンク勤務を経て独立。個別指導塾を設立し、小中高生の学習指導を開始。落ちこぼれから難関校受験生まで、指導歴20年以上。「どこよりも結果を出す」をモットーに、成績不振の生徒の成績を短期間で上げることに情熱を燃やし、学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて難関大学に現役合格した実話「ビリギャル」並みの成果を連発。小中高生を勉強の苦しみから解放すべく、従来にない切り口での学習法教授に奮闘中。