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もとは大衆食堂?の雰囲気

食べるものはもう決まってる。サンマーメン。

どっちの店にするかもほぼ決まってた。やっぱり店構えからして、後で見つけた方の『大千居(だいせんきょ)』。いかにも古そうな感じが、私好みだった。「横浜路線バスグルメ」を締め括(くく)るには、あれこそ相応しかろう、と思った、勝手に、個人的に……。

てなわけで、戻ります。

「西前商店街」「ふじだな一番街」と遡り、バス通りを渡って最初に歩いた「藤棚商店街」へ。さらに「サンモール西ヨコハマ」に入ると、右手に目指す店はある。

いやぁ改めて目の前に立ってみると、この佇まいがぐぃぐぃ迫って来る。「どこ行ってたんだ?お前の入るべき店はここしかないに決まってんだろ!?」そんな風に言われてるようにも思えてくる。

大千居

さぁあれこれ感慨に耽るのも、ここまで。早速、中に入りましょう。

外見からも予想がついた通り、店内は結構、広い。テーブルは7つあり、厨房は奥。おまけに2階もあるらしく、「40名まで宴会を受け付ける」旨、貼り出してあった。

見たところ、元は大衆食堂か何かだったんじゃないかな。そこを最低限、内装を変えて中華屋として営業してる。そんな風に私は見た。入ってすぐのところにある本棚には漫画が並べられ、読みながら食べられる。飾らない雰囲気に好感度、更に右肩上がり。

メニューは豊富で、麺料理に限ってもかなりの種類があったけど、腹は既に決まってる。「サンマー麺」780円ナリ、を淀(よど)みなく注文。

すると、出て来たのがこれですよ!

サンマー麺

いやぁ~いいねぇ。これぞサンマーメン。たっぷり掛けられた餡で、麺が見えないくらい。

具はシャキシャキのモヤシだけでなく、タマネギ、ニラ、ニンジン、キクラゲ、と野菜たっぷりに、細切り肉も沢山。これは贅沢だわ。

それに見てもらったら分かる通り、量が多い。隣のテーブルは女性を含む3人連れだったけど、モヤシ炒めとか、焼きビーフンとか、料理が供されるたびに「うわぁ~」と歓声を上げていた。ここ、何を頼んでも大盛りみたい。

小食の私に食べられるか知らん? とちょっと不安だったけど、あっさりした中に深い味わいの醤油スープで、ずんずん食が進む、進む。細目の麺にこれがまた合う、合う。具沢山の餡も美味い、美味い。気がついたらスープまで全部、飲み干して完食でした。

横浜編のラストにふさわしいグルメ

「横浜編」を締め括るに相応しいサンマーメン。今回もこんな店との出会いに感謝、です。ご馳走様。ありがとうございましたっ!!

大千居

「横浜路線バスグルメ」はこれでいったん、お終い。

また新たなテーマなり、町なりを設定して戻って来る所存です。それまで―――。

もうちょっと、お待ち下さい。再見(サイツェン)……。

西村健
にしむら・けん。1965年、福岡県福岡市生まれ。6歳から同県大牟田市で育つ。東京大学工学部卒。労働省(現・厚生労働省)に勤務後、フリーライターに。96年に『ビンゴ』で作家デビュー。2021年で作家生活25周年を迎えた。05年『劫火』、10年『残火』で日本冒険小説協会大賞。11年、地元の炭鉱の町・大牟田を舞台にした『地の底のヤマ』で日本冒険小説協会大賞を受賞し、12年には同作で吉川英治文学新人賞。14年には『ヤマの疾風』で大藪春彦賞に輝いた。他の著書に『光陰の刃』『バスを待つ男』『バスへ誘う男』『目撃』、雑誌記者として奔走した自身の経験が生んだ渾身の力作長編『激震』(講談社)など。2023年1月下旬、人気シリーズ最新作『バスに集う人々』(実業之日本社)を刊行。

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