「新しい街のシンボルとなる温浴施設を」というコンセプトを掲げ、2023年10月上旬にオープンした『愛子天空の湯 そよぎの杜』。前編では日本初、東北初となる岩盤浴アトラクションを中心に体験し、いい汗をかきました。後編では、自分のペースで天然温泉&サウナ三昧。汗をかいて体力を消耗したあとの、サ飯もチェックしてきました。
画像ギャラリー多種多様な8つのお風呂で湯めぐりがかなう
入館直後から岩盤浴エリアで過ごし、岩盤浴着は汗でぐっしょり。汗を流すため、2階の天然温泉&サウナフロアへと移動した。
ちなみに、1階と2階は何度でも自由に往来可能。湿った岩盤浴着でも気にならなければ、温泉で汗を流したあとに再び岩盤浴を楽しめる。
こちらの温泉は地下1100mから湧出する塩化物泉で、泉質は「ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉(低張性・弱アルカリ性・高温泉)」。
館内の案内によれば、美肌効果が望め、自律神経不安定症、ストレスによる睡眠障害、うつ状態といった心の健康にも効果がある。体をポカポカに温める塩化物泉、それでいて湯あたりがしにくい低張性のため、子どもから年配者までが毎日浸かることができる温泉なのだそう。
その天然温泉が注ぎ込むのは、露天エリアの「天然温泉」と表示された浴槽と壷湯の2つ。
匂いも色もないお湯は肌に張りつくしっとり系というよりは、さっぱりとした湯ざわり。よけいな皮脂や毛穴の汚れが洗い流されたように肌がツルツルになり、すっきりとした湯上がりだった。
壷湯は、大人ひとりが入ってちょうどなサイズ。体を沈めると、壷のふちに首や腕、足がかけやすい。足をのばせる大浴場も気持ちがいいが、こういう心地よい狭さってあるんだと、新たな発見だった。お湯に浸かっている胴体と、外に投げ出された顔、腕、足の温度差が気持ちのいいこと!
汗を流すはずが、2つのサウナでまたも大量発汗
趣の異なる2つのサウナも体験しておこう。
露天エリアに設置された「禅サウナ」は、入口横に置かれたサウナストーンにラドルを使って水をかけ、ロウリュウを行うセルフロウリュウが自慢だ。
注意書きにあるとおり周りのお客さんにひと声かけ、自らラドルを握る。水をかけるたびに、ストーンから勢いよく蒸気が上がり、それとともに室内の湿度と体感温度が上がる感覚。ひな壇にタオルを敷いて座り、目を閉じると、毛穴という毛穴から汗がふき出し、汗が皮膚を伝う感覚が分かる。これが例の「ととのう」ということなのか?
内風呂エリアには、毎時00分と30分にオートロウリュウを行う「梵サウナ」がある。
時間になるとサウナストーブの噴射口からミストが噴き出し、室内の湿度をぐんと上げるオートロウリュウ。それだけでなく、天井に設置された20個のダクトから激しい風が吹き荒れ、室内の熱い空気をかき回すイベント「灼熱嵐舞」も同時に行われる。
湿度が上昇するだけでもハードルが上がるのに、さらに熱風&暴風が顔に、体に容赦なく吹きつける。5分程度の短いイベントだが、それ以上の時間だったら途中で外に出てしまっていたかも。文字どおり激アツな時間だった。
内湯、露天風呂、サウナを存分に楽しみ、いい汗をかいたが、体力の消耗も感じたのでこの日はここらで退散。気付けば6時間も滞在していた。
格別に旨い、汗をかいたあとのガッツリサウナ飯
空腹だったがお昼どきは行列ができていたため、混雑が落ち着いた時間にレストラン『キッチン レポ』を訪れた。
サウナ愛好家が汗をかいたあとに食べるサウナ飯がメニューに並ぶ。サウナ飯に確固たる定義はないが、たっぷり汗をかいて失ったミネラルや水分を補う料理やドリンクをこう呼ぶらしい。
キッチン レポでは、カツカレーライス、かつ丼、とんてき定食というガッツリ系がサウナ飯としておすすめされている。疲労回復には豚肉がいいと聞いたことがあるが、ここでの豚肉推しもそういうことなのだろうか。
メニュー写真の肉の厚みとソースの照りにひかれ「とんてき定食」(1200円)を注文した。
醤油の芳しい香りとともに、とんてきが到着。厚みのある豚肉に抵抗なくスッとナイフが入る。赤身と脂身の両方が楽しめる部位は、ロースか肩ロースか。下茹でもしくはオイル煮など、何らかの下処理をしていないとおかしなほど柔らかくてジューシー。
たっぷりからまったソースも美味! 醤油ベースにほんのり酸味が加わり、強めのコショウとカレーのような複雑なスパイスがふわっと香る。ガーリックチップと頬張ると、口の中にさらに香味が広がった。
私が訪ねた平日は、ご年配グループやお子さん連れのファミリー、カップルなど客層が幅広く、中でも想像以上に若い男性グループが多かった。午前中はまばらだったお客さんも時間が経つにつれてどんどん増え、午後には岩盤浴ルームでの場所取り禁止の館内放送が聞こえてきた。混雑を避けたい方は、平日の午前中が狙い目なのかもしれない。
結局私は、「ととのう」ことの真髄を知ることはできなかった。が、入り口は見えた気がしている。
何はともあれ大量の汗を流して、ボーッとして、おいしいご飯を食べて、いい1日だった。
■『愛子天空の湯 そよぎの杜』
[住所]宮城県仙台市青葉区錦ケ丘1-2-88
[電話番号]022-796-1534
[営業時間]9時~翌1時(最終受付24時15分)
[定休日]無休
[料金]入館料:平日990円、土・日・祝1210円 岩盤浴:平日550円、土・日・祝660円※タオルや岩盤浴着のレンタルも別途あり
[交通]車:東北自動車道仙台宮城ICから約5分 電車:JR愛子駅から愛子観光バス3分の錦ケ丘中学校前下車、徒歩4分
取材・撮影/阿部真奈美
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