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滑り止めに有効な学習法「解答読破」とは

この時期大事なのは過去問演習ですが、第1志望校はともかく、併願校ともなると、過去問演習が十分でない方もいらっしゃるのではないでしょうか。受験校によっては1、2年分しか解かずに入試を迎えるケースも少なくありません。市販の過去問集にはだいたい5年分が収録されていますが、結局半分以上は解かずに終わってしまうこともあります。

そこで、少し変わった過去問対策法をご紹介します。これは、特に滑り止めに受ける安全校などの過去問対策に有効な方法です。それは、

「問題を読み、自分で解かずにすぐに解答を読む」

というものです。これを「解答読破」と呼ぶことにします。

「解答読破」5つのポイント

第1志望や第2志望であれば、過去問は多くの年度を解く方が、より点数が取れるようになると考えられます。しかし、滑り止めとして受ける安全校は、「問題の形式、傾向、難易度などを把握し、それに慣れる」「合格点が取れることを確認する」という目的が果たせたら、それ以上の年度を解く意味はあまりありません。過去問演習は時間がかかるため、その分、別の必要性の高い勉強に時間を充てる方が有効です。そこで、ある学校の過去問演習を短期間で完了するために、次のように取り組みます。

(1) もっとも古い年度の過去問を「解答読破」し、問題の形式・内容・レベルなどを把握する。その際、記憶系の問題で覚えていなかったものはすべて覚える。また、算数や理科の思考系の問題ですぐに解けそうになかったものは解き方をマスターする。

(2) もっとも新しい年度の問題を、実際の試験のように時間を計って解く。

(3) 合格最低点を十分上回っていたら、過去問演習は終了。時間に余裕があれば、残りの年度も解いてみる(一部の科目でも良い)。あるいは、「解答読破」し、問題を解けるようにする。

(4) (2)で合格最低点に達しなかったら、もう1年分を解いてみる。再び合格最低点に達しなかったら、さらにもう1年分を解く。合格ラインを超えるまで、これを繰り返す。

(5) すべての年度を解いてしまったら、手もとにある分を繰り返し解いて、すべて解けるようにする。あるいは、同じような傾向・レベルの他の学校の過去問を解いても良い。場合によっては志望校変更を検討する。

首都圏の受験生の場合は、受験した学校の合否によって、何校か追加受験することがあります。その受験するかどうかが未確定の学校に対する過去問対策に多くの時間を割くことは、本命のための勉強時間を圧迫することになります。とはいえ、もしもの場合を考えると、安全校についても対策をしておかなければなりません。そこで役立つのが、上記の「解答読破法」です。受験する可能性がある学校の過去問を早い段階で「解答読破して、入試問題の形式・傾向・難易度などを把握しておくことをおすすめします。

過去問は解かない

圓岡太治(まるおか・たいじ)
三井能力開発研究所代表取締役。鹿児島県生まれ。小学5年の夏休みに塾に入り、周囲に流される形で中学受験。「今が一番脳が発達する時期だから、今のうちに勉強しておけよ!」という先生の言葉に踊らされ、毎晩夜中の2時、3時まで猛勉強。視力が1.5から0.8に急低下するのに反比例して成績は上昇。私立中高一貫校のラ・サール学園に入学、東京大学理科I類に現役合格。東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。大学在学中にアルバイト先の塾長が、成績不振の生徒たちの成績を驚異的に伸ばし、医学部や東大などの難関校に合格させるのを目の当たりにし、将来教育事業を行うことを志す。大学院修了後、シンクタンク勤務を経て独立。個別指導塾を設立し、小中高生の学習指導を開始。落ちこぼれから難関校受験生まで、指導歴20年以上。「どこよりも結果を出す」をモットーに、成績不振の生徒の成績を短期間で上げることに情熱を燃やし、学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて難関大学に現役合格した実話「ビリギャル」並みの成果を連発。小中高生を勉強の苦しみから解放すべく、従来にない切り口での学習法教授に奮闘中。

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圓岡太治
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