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昭和24年創業、東京・荻窪の名店「春木屋」の歴史

昭和24(1949)年創業。東京ラーメンの礎となった東京・荻窪の地で確固たる地位を築き上げ、今なお影響を与え続ける荻窪中華そば「春木屋荻窪本店」(杉並区上荻1-4-6)。

創業者の今村五男さんは、大正4年(1915年)長野県下伊那郡の川路という町で生まれ、既に荻窪で「中国レストラン春木家」(平成16年閉店)を経営していた兄(今村国治さん)を頼って戦前に上京。ちなみに現在も運営している「春木家本店」(杉並区天沼2-5-24)も五男さんのご兄弟がやられています

創業者の今村五男さん

戦争になり、五男さんも兵役についものの、体格が小さかったことから、厚木にあった兵舎で、食事を作る担当になり、戦地へは行かなかったようです。終戦後、蕎麦店をやろうと思ったようですが、設備投資や、当時蕎麦粉が手に入りづらかったこともあり、鍋釜があればラーメン店ができるということで、現在の本店の場所に屋台を構えます。

ちなみに荻窪にある「丸長」、「丸信」の創業者は同じ長野県出身ということですが、顔見知りというわけでもなく、ラーメン作りにおける関連はありません。

その後、店は順調にお客さんがつき、昭和29年には土地を購入し、家屋を建て、店舗をかまえました。

店舗を構えた当時の外観

50年以上通い続ける常連、春木屋の魅力の原点

春木屋のお客さんの中には、50年以上通い続けている常連さんや、親、子、孫と三代に渡ってのファンがたくさんいるといいます。誰にでも、通い続けているお店というものはあると思いますが、人生の半分以上をも虜にさせるお店は果たしてあるでしょうか?

そこまで虜にさせる「春木屋」の魅力とは、いったいどのようなものなのか。それは純粋に先代夫婦が「美味しいラーメンを作って、お客さんの笑顔を見たい」という想いが原点にあるのです。

今村五男さんとフミさん夫妻

時代とともに少しずつ味を変える

「最近あそこのお店、味落ちたよな」「昔は美味しかったのにな」こんな言葉をよく耳にすることがあります。しかし果たしてそれは本当に味が落ちたのでしょうか?この問いこそが春木屋が現在に至っても行列を作っている揺るがない理由なのです。

先代曰く「食糧事情が良くなるにつれ、お客様の舌もおのずと肥えていくものです。同じ味を出し続けていれば“味が落ちた”といわれるのは当然です。だからこそ常日頃から味の研究を重ね、時代の変化とともにベースとなる味は変えずに、お客様に分からないように少しずつ味を変えてきました。これを続けることによって初めて“いつも変わらなく美味しいね”と言われるのです」

春木屋荻窪本店の中華そば
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おとなの週末Web編集部
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