高校3年生A君の失敗例……浪人後は、東北大医学部へ
今から10年ほど前のこと。中高一貫私立校に通っていた高校3年生のA君は、国立大学の医学部を志望していました。指導を開始したのは高校3年の6月からでしたので、遅目のスタートでしたが、理系科目の中でA君が苦手なものを中心に指導をし、2学期が終わる頃には合格が期待できる位置まで来ていました。
当時は大学入試センター試験(現在の大学入学共通テストの前身)が実施されていました。国語についてはA君は模試では8割程度の点数は取れており、特段対策を行っていませんでした。しかし冬休みに入り、少しでも点数の上乗せを図ろうと、短期間で取り組める薄めのセンター向け問題集に取り組んでもらいました。ところがその成果は出ず、逆に本番では国語は模試より数十点(200点中)低い点数となりました。
その問題集の影響がどれだけあったのかを測る手立てはありません。しかし、A君がその結果に落胆したのは間違いありません。当時、国立大医学部の多くで、センター試験の合格ラインは、9割程度が目安とされていました。そのため国語の失点はおおきな痛手となりました。残念ながらその年A君は当時の志望校に合格できませんでしたが、翌年は見事、超難関の東北大学医学部に合格しました。
優先して取り組むべき復習は?親御さんの質問に答えます
さて、これまでやったことの復習が大事とは言っても、その中で何を優先して取り組めばよいのでしょうか。この入試直前期に、受験生やその親御さんからよく質問されるのは、次のような内容です。
「今やっている塾の勉強の復習と、過去問の復習と、どちらを優先した方がいいでしょうか?」
この質問に対する私の回答は、「過去問の復習」です。
塾の授業の内容や生徒さんの状況にもよりますが、一般論として言うと、そうなります。過去問演習をして解けなかった問題は、一部の「捨て問」(解くのをあきらめる難問)を除いて、復習して解けるようにしておくことが基本です。
似たような問題が出る可能性は高い
「過去問で出たような問題はもう出ないのではないか」との質問もよく受けますが、そんなことはありません。学校ごとに出題されやすい問題の傾向があり、似たような問題が出る可能性は高いのです。
算数の場合、一見異なる問題でも、そこで必要な着眼点や思考過程には共通するものがある場合があります。したがって、ひとつの学校の過去問を何年分も解くと、その学校の問題に馴染み、解き易くなってきます。これらが、過去問の復習を優先することをお勧めする理由です。
ただし、「開成コース」や「麻布コース」などのように、特定の学校に絞った対策を行っている塾の場合、今年度の出題を予測して問題を選択している場合があります。その場合は、過去問の復習と同じぐらい優先して取り組むべきかと思います。