蔵ごとに違う仕込み水の飲み比べも
もちろん、目指すは西条酒蔵通りの7軒すべての酒蔵をコンプリートすること!曜日によって試飲はなく、販売だけという酒蔵もあるが、1日で無理なく回れるコンパクトさがいい。なんとなく街歩きをしているうちにたどり着けるし、煙突の銘柄を目印になんとなく見つけられる。このゆるさこそ、西条酒蔵通りのよさだ。
なんとなく出会えるものに湧水も。実は西条の仕込み水は、それぞれの酒蔵ごとに違うそう。「この蔵の仕込み水」として開放している泉も多く、地元の人たちもタンクを片手に汲みにきている。利き酒ならぬ、利き仕込み水にトライしてみるのも一興だ。
そのためにもマイおちょこを持参することをおすすめしたい。私は「酒まつり」で販売しているオリジナルグッズという首からさげられるおちょこホルダーをゲット。これは便利。
朝昼晩で風情が異なる西条は1泊旅行が正解
半日ですべてを回れるほどの範囲だが、ぜひとも一泊することをおすすめしたい。西条の日本酒だけで蒸した「美酒鍋」や、米粉でからりと揚げた「コメカラ」など、日本酒と絶妙にあう東広島のご当地グルメも多く、駅前には飲食店が連なる西条駅前屋台村、通称「酒蔵横丁」も。
とことんはしごし、飲みつくしたい。横丁の『ひで』で燗酒を堪能し、活気がある『ちゅうしん蔵』で名物「美酒鍋」を味わった。他にも日本酒専門のスタンドやお好み焼の名店など、まだまだ足を運びたいお店が。
翌日は東広島市役所の展望台から酒蔵の煙突の風景を一望できるということで、朝一番に市役所へ。現在は全ての煙突が煙突としての機能を停止しているというが、早朝に行くと、煙突とともに、周辺から湯気が立ち上る。ポスターや絵葉書のような風景を見渡せるのだ。
これも日帰りではなく、一泊すべき点のひとつ。酒造りの時期になると、街全体がふわっとお酒の香りに包まれるという。朝昼晩の趣がそれぞれ異なり、ぜひリアルで、五感で味わいたい街なのだ。
文/間庭典子