「釜揚げそば」は時間によっておいしさが変わる!?
次に伺ったのは「上田そば店」。松江そば組合の店舗内ではもっとも歴史があるお店です。店主の松浦邦春さんは、「創業は明治40(1907)年頃と聞いています」。そう、まさに松江藩の歴史を伝えるそば店なのです。
初めてなのにどこか懐かしさを感じる古き良き老舗のそば店、といった店構えで、こちらも観光客、地元の人問わず、多くの人が詰めかけます。
「割子そば」と「釜揚げそば」のセットといううれしいメニューもありました(「割子そば」2枚と「釜あげそば」のセットで1,150円)。ですが、今回は、「割子そば」(810円)、「釜あげそば」(700円)をそれぞれオーダーすることに。
「釜あげそば」は「割子そば」同様、出雲そば独自の食べ方です。「釜あげうどん」をイメージしていただくとわかりやすいと思います。湯がいたそばを水洗いせず、茹で湯ごと丼に盛る温かいそば。
その昔、出雲大社周辺の屋台で参拝客に振舞っていた際、屋台では水洗いが難しく、そば湯ごと器に入れていたことが起源とされています。
食べ方は、まずは何も付けずにそばの味を楽しみ、その後、お好みで直接丼につゆや薬味を加えるのが一般的。「しっかり噛んでいただくのが出雲そばです。ぜひのど越しも楽しんでください」と松浦さん。挽きぐるみの出雲そばはやはり噛みしめて楽しまないと、ということですねぇ。
そうそう、「釜あげそば」は時間帯によって汁のどろどろ状態が違うんですって。朝はさらりとしていますが、多くのそばを茹でた後の夕方などは、どろりとしているのだとか。
「その日の忙しさによっても違うのだけど、みなさん、それぞれ好みがあって、13時頃の茹で汁がいちばん好きだとおっしゃる方は多いですね」(松浦さん)。なるほど奥が深い。この日伺ったのは15時すぎ。確かに少しどろりとしていて、それはそれでいい感じでした。