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「無情の世界」が世界的人気に

発売当時日本ではシングル・カットされたタイトル・チューン「レット・イット・ブリード」が人気となった。が、世界的な人気となったのは、最初に録音が始まった「無情の世界(You Can’t Always Get What You Want)」だ。7分を超える大曲で、60人のロンドン・バッハ合唱団による壮大なコーラスで曲が始まる。詞の内容は彼らの全米No.1ソング「サティスファクション」(1965年)への自らによるアンサー・ソングと言える。

もう1曲、「むなしき愛(Love In Vain)」も忘れられない。キース・リチャーズらしいアコースティック・ギターのイントロで始まるこの曲は、彼らが愛して止まないルーツ・ブルーズ・ミュージシャン、ロバート・ジョンソン(1911~38年)のカヴァーだ。

全体的に激しいロック・ヒートの曲は少ないが、各曲のエネルギー感は抜群で、単なるロックの古典でなく、現代のザ・ローリング・ストーンズに通じる名盤と言える。

『レット・イット・ブリード』のジャケット裏

18年ぶりのオリジナル新作『ハックニー・ダイアモンズ』

2024年4月28日(日本時間29日)、米国のヒューストンを皮切りに、彼らは北米ツアーをスタートさせる。2023年10月に発売された18年ぶりのオリジナル新作『ハックニー・ダイアモンズ』のためのツアーだが、この『レット・イット・ブリード』からの選曲があるかも知れない。

『LET IT BLEED(レット・イット・ブリード)』
1.「ギミー・シェルター」
2.「むなしき愛」
3.「カントリー・ホンク」
4.「リヴ・ウィズ・ミー」
5.「レット・イット・ブリード」
6.「ミッドナイト・ランブラー」
7.「ユー・ガット・ザ・シルヴァー」
8.「モンキー・マン」
9.「無情の世界」

岩田由記夫
1950年、東京生まれ。音楽評論家、オーディオライター、プロデューサー。70年代半ばから講談社の雑誌などで活躍。長く、オーディオ・音楽誌を中心に執筆活動を続け、取材した国内外のアーティストは2000人以上。マドンナ、スティング、キース・リチャーズ、リンゴ・スター、ロバート・プラント、大滝詠一、忌野清志郎、桑田佳祐、山下達郎、竹内まりや、細野晴臣……と、音楽史に名を刻む多くのレジェンドたちと会ってきた。FMラジオの構成や選曲も手掛け、パーソナリティーも担当。プロデューサーとして携わったレコードやCDも数多い。著書に『ぼくが出会った素晴らしきミュージシャンたち』など。 電子書籍『ROCK絶対名曲秘話』を刊行中。東京・大岡山のライブハウス「Goodstock Tokyo(グッドストックトーキョー)」で、貴重なアナログ・レコードをLINN(リン)の約400万円のプレーヤーなどハイエンドのオーディオシステムで聴く『レコードの達人』を偶数月に開催中。最新刊は『岩田由記夫のRock & Pop オーディオ入門 音楽とオーディオの新発見(ONTOMO MOOK)』(音楽之友社・1980円)。

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