×

気になるキーワードを入力してください

SNSで最新情報をチェック

橋梁内部は見学可能、毎週木曜に「勝どき橋 橋脚内見学ツアー」

勝鬨橋の築地側のたもとには、橋用の変電所を再活用して開設した「かちどき 橋の資料館」がある。ここには、勝鬨橋の模型やパネルや実物の電気設備などの展示が常設されており、誰もが気軽に利用できる(休館日:日、月、水)。なかでも、毎週木曜日には「勝どき橋 橋脚内見学ツアー(事前申し込み、抽選制、参加費無料)」が午前と午後に2回実施があり、橋の歴史や構造、機械設備などの解説とともに橋脚内部を案内してくれる。

見学は1回約90分で、各回10名限定、もちろん参加費は無料。詳細や申込み方法は「橋脚内見学ツアー」で検索し、応募もWEB上からできる。小学生(身長110cm)以上が対象で、一部の場所では落下防止のため安全装置を体に装着する必要があり、体重制限もある。詳しくは、東京都道路整備保全公社「かちどき 橋の資料館」情報ページへ。

橋の西詰(築地側)の袂にある「かちどき 橋の資料館」。入館料が無料なのはうれしい=2024年4月4日
橋脚内部を見下ろす。この内部の床は、隅田川の水面よりも低い位置にある=2024年4月4日
「橋脚内見学ツアー」では、跳開橋の動く仕組みを実物を見ながらイラストを使って丁寧に説明してくれる=2024年4月4日
橋脚内部にあった当時の職員が使用していたトイレ。今では考えられないが、この汚水はそのまま隅田川へと流れ出る“水洗トイレ”だった=2024年4月4日

工事費は418万円、現在では22億円以上

架橋位置は東京都中央区に位置し、隅田川を挟んだ築地6丁目と勝どき1丁目に架かる都道304号、通称「晴海通り」の橋である。その構造は、国内唯一の「シカゴ型双葉跳開橋(そうようちょうかいきょう)」であり、その構造は大きく3つに分けられる。中央にある可動(開閉)部と、その左右両側にある固定部をソリッドリブタイドアーチ橋と呼ぶ。全橋長は246m、有効幅員は22mで、中央可動部の径間長は44mもある。

橋格は「一等橋」を誇る。工事費は当時の価格で418万円、現在の貨幣価値に換算すればおおよそ22億3千万円くらいにはなろうか。2014年、さらに下流に架かる「築地大橋」が完成するまでは、隅田川として一番下流の橋であった。2007年6月に「日本国重要文化財」に指定されたほか、2017年には跳開部の機械設備が「機械遺産(日本機械学会)」として認定された。

橋の西詰(築地側の袂)に設置されている「日本国重要文化財」の銘板。当時の石原慎太郎東京都知事の揮毫が目を引く=2024年4月4日

近年、再び可動部を跳開させようと一部の市民団体や都議などによる働きかけがあったものの、実現には至っていない。バブル期の1990年には、世界都市博覧会の目玉企画として跳開が計画されたが、都市博そのものが中止となり、立ち消えとなった。動かすための修復費用は、東京都の試算では10億円ともいわれる。是が非でも跳開する姿を見てみたいものである。

文・写真/工藤直通

資料提供/「かちどき 橋の資料館」、参考文献/「土木建築工事画報」(昭和5年2月号)、「土木工学」(第4巻 第7号 昭和10年7月)

くどう・なおみち 日本地方新聞協会特派写真記者。1970年、東京都生まれ。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物に関連した取材を重ねる。交通史、鉄道技術、歴史的建造物に造詣が深い。元日本鉄道電気技術協会技術主幹。芝浦工業大学公開講座外部講師、日本写真家協会正会員、鉄道友の会会員

icon-gallery
icon-prev 1 2 3 4
関連記事
あなたにおすすめ

関連キーワード

この記事のライター

工藤直通
工藤直通

工藤直通

最新刊

全店実食調査でお届けするグルメ情報誌「おとなの週末」。6月14日発売の7月号では、「下町ぶらグルメ」…