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天皇陛下の馬車とは

皇室の方々の馬車利用は、重要儀式の際に限られるため、日常の公務で乗られることはまずないという。儀装馬車には、1号から4号までの4種類があり、そのなかでも天皇陛下が乗られるのはどんな馬車なのか。古くは大正と昭和の即位の礼で使用した儀装車1号(旧名・特別儀装馬車)と呼ばれる馬車が存在するものの、平成と令和の即位の礼で使われることはなかった。

皇室の重要儀式は、皇居内か伊勢神宮で行われることが多いため、広く一般向けには公開されていない。具体的には、天皇陛下は儀装車2号、皇后陛下と皇嗣殿下(皇太子殿下)は儀装車3号に乗られる。他の皇族方が使用できるのは儀装車4号であるが、皇男子の成年式などで使用されるくらいで、女性皇族が乗られることはまずない。また、儀装車4号は「信任状捧呈式」という新任の外国大使らが臨む国の儀式で使用され、東京の丸の内から皇居前周辺を走ることから、“誰でも見ることができる馬車列”ではないだろうか。

大正と昭和の即位の礼で使用された儀装車1号。現在では使用されることもなく、歴史の生き証人として大切に保管されている。写真は、出入り扉を開けて折り畳み式の昇降階段を据えた状態=写真提供/宮内庁
天皇陛下が乗られる儀装車2号。この馬車は、1959(昭和34)年の上皇ご夫妻のご成婚パレードでも使用された=2019(令和元年)年11月23日、伊勢神宮内宮(三重県伊勢市)
儀装車2号は、使用する場面に応じて”屋根のある状態”と、”ない状態”にすることができる。この日は、ときおり小雨が降る天候だったため屋根は閉じられていた=2019(令和元年)年11月22日、伊勢神宮外宮(三重県伊勢市)

文・写真/工藤直通

くどう・なおみち。日本地方新聞協会皇室担当写真記者。1970年、東京都生まれ。10歳から始めた鉄道写真をきっかけに、中学生の頃より特別列車(お召列車)の撮影を通じて皇室に関心をもつようになる。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物を通じた皇室取材を重ねる。著書に「天皇陛下と皇族方と乗り物と」(講談社ビーシー/講談社)、「天皇陛下と鉄道」(交通新聞社)など。

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