森見登美彦の養子になりたい
僕は本が好きですが、自ら相談者の方へ提示したように好きな作家さんの魅力について語ってみようと思います。
僕は小説家でいうと、森見登美彦先生が好きです。
お話そのものもそうですし現実とファンタジーのちょうど間を書く世界観も、少し穿った見方をする人物達も好き。
そして何より文体がたまりません。
例えば、四畳半神話大系でいうと書き出しから痺れます。
『大学三回生の春までの二年間、実益のあることなど何一つしていないことを断言しておこう。異性との健全な交際、学問への精進、肉体の鍛錬など、社会的有為の人材となるための布石の数々をことごとくはずし、異性からの孤立、学問の放棄、肉体の衰弱化などの打たんでも良い布石を狙い澄まして打ちまくってきたのは、なにゆえであるか。
責任者に問いただす必要がある。責任者は何処か。』
どうですか、これだけで白米3杯食べれるでしょう。
そらで唱えることができるほど、何度も読んでいます。
ここまで凝っている文章なのに、読みやすい。それでいて、主人公の性格がすぐ分かる。
怠惰に身を任せているのに、ここまで他責的な登場人物はそういない。けれど、愛おしさがある主人公。
脳が痺れます。
こんな濃い味の文章が作品でずっと続くんですよ。
この四畳半神話大系は、もう何回読み返したか分かりません。僕にとっての聖書です。
ガムは噛めば噛むほど味がしなくなるのに、文章は何度でも味がする訳ですから、こんな作品を世に残してくれて、本当に感謝です。
願いが叶うのであれば、森見登美彦さんの養子になりたいと思います。
好きなものへの想いを「言語化」できる?
気持ち悪いでしょう。分かっています。
それでも、好きな物、好きな人への想いはいくらでも分解して言語化できる訳です。
こんな人間が「趣味は本で、特に森見登美彦さんを敬愛しています」と口にしていたら「そりゃそうだろうな」と思われるんですが。
他人に恥ずかしげもなく趣味を口にできるようにしたいのであれば、この言語化が鍵になるような気がします。
せっかく好きなものがあるのだから、誰かの目を気にして口にするのが憚られるのは勿体無い。そこまで熱量があるものは、幸せなことですし。
誰に対しても胸を張って「好き」と言えるようになると良いですね。