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コロナ禍を経て、再訪

やっと、今年2024年5月、伊勢への旅が実現。宿からタクシーに乗って、「『一月家』まで」とお願いする。

 「2度目なの? 前に行ったとき豆腐は食べた? 豆腐がおいしいんだよ。大きすぎたら、半分にしてくれるから食べてみて。カレーもおいしいよ」。

7年前と同じ運転手さん? じゃない。今回出会った運転手さんの「一月家愛」も熱かった。

「じゃあ、ご主人によろしくね~」という運転手さんの声に送られ、再び暖簾をくぐった。今回はひとりでカウンターに座る。

いい佇まいである
いい佇まいである

「フクダメって知ってる?」

あれ、あのおじさん? じゃない。違う方だけれど、あの時と同じように声をかけてくれる地元のおなじみさんだ。

現れたフクダメは、やはりアワビと見まごうような立派なトコブシ! 「ああ、これだこれだ」と思う。変わらない、磯の味わい。旅ができる日常っていいなあ、とちょっと泣けてくる

奥がフクダメ。手前は自家製さつまあげ、これまた旨い
奥がフクダメ。手前は自家製さつまあげ、これまた旨い
他の魚介も美味揃い。煮だこはびっくりするくらい柔らかい
他の魚介も美味揃い。煮だこはびっくりするくらい柔らかい

カウンターの中の店員さんが、「今日はイワシおいしいわよ」。もちろん、いただく。これがまたとびきりうまい。

鮮度バツグンの感涙イワシ。店員さんオススメには従うべし
鮮度バツグンの感涙イワシ。店員さんオススメには従うべし

7年前に一気に気持ちが戻る。そうだそうだ、なぜまた、この酒場に来たいと強烈に思ったのか。食べ物のおいしさはもちろんだけれど、地元の人たちの、絶妙なお勧めが楽しく、とっても心地よかったのだ

帰り際、無粋にもお隣さんに聞いてしまった。どうしてみなさん、一見の客をかまってくれるんでしょうか、しかもほどよい距離感で—。

値段表記はなく、食べ終えた器とグラスを下げずに会計するシステム。私の前はこんなことに……カレーもバッチリいただいて大満足!
値段表記はなく、食べ終えた器とグラスを下げずに会計するシステム。私の前はこんなことに……カレーもバッチリいただいて大満足!

「昔っから、お伊勢参りの人がたくさん来るからね。『伊勢もん』は、もてなし好きなんだよ」

「伊勢もん」って響きに、ぐっと来た。

ああ、また反芻してしまいそう。

夜もまたいい雰囲気だ
夜もまたいい雰囲気だ
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■『一月家(いちげつや)』
[住所]三重県伊勢市曽弥2-4-4
[電話番号]0596-24-3446
[営業時間]14時〜22時
[休み]水
[交通]近鉄山田線宮町駅から徒歩3分


取材・撮影/本郷明美

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本郷明美
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