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DOHC投入で大人気!!

1.6Lで135psのZC型、直4DOHCエンジンは名機の誉れ高い

初代CR-Xのデビュー時のエンジンは、1.5Lと1.3Lの直列4気筒SOHC。1気筒あたり3バルブ(吸気2、排気1)の12バルブエンジンを搭載していた。

そのCR-Xに待望のDOHCエンジンが搭載されたのは1984年11月。ホンダの名機と誉れ高いZC型の1.6L、直4DOHCを搭載してさらに魅力アップしたのは言うまでもない。このZC型エンジンは、1.5Lが110psだったのに対し、135psをマーク。軽量ボディゆえ110psでも充分に速かった初代CR-Xがもっともっと速くなった。グレード名もシビック同様にSiの称号が与えられた。このZC型DOHCエンジンは当然シビックシリーズにも搭載されたのだが、車重が軽い初代CR-Xの走りのほうが気持ちよかった。

エクステリアではZC型搭載モデルは助手席側のボンネットにバルジ(バルジ)が設けられていてひと目でDOHCかSOHCか判別できた。クルマに興味のない方にとっては、単なるボンネットの膨らみも、クルマ好きからすれば誇らしいシロモノだったのだ。

ボンネット右側のバルジ(膨らみ)がDOHC搭載の証

DOHC搭載の前期を狙え!!

初代CR-Xは1985年9月にマイナーチェンジを受け、外観の特徴であったセミリトラクタブルヘッドライトが廃止され固定タイプに変更された。マイチェン後は当然ZC型の1.6L、直4DOHCエンジンが搭載されたが、ここがポイントで、ZC型の1.6L、直4DOHCエンジンを搭載するセミリトラクタブルの前期モデルはわずか1年2カ月しか販売されていなかったのだ。しかもDOHC登場後も一番売れていたのは1.5Lモデルだったため数が少ない。

そんな理由から初代CR-Xの中古車では、前期型のSiが希少性から大人気となった。クルマは移動手段であると同時に趣味趣向が色濃く反映されるため、このようなちょっとしたことが人気の要因となるのがオモシロいところでもある。

ちなみに2024年8月末の時点で初代CR-Xの中古車はほとんど流通していない。出モノがあったとしても250万円前後の相場となっている。前期のSiという条件で探すことはほぼほぼ不可能な状態になっている。

このセミリトラクタブル+ボンネットバルジが超人気となった

KKコンビの活躍

閑話休題。初代CR-Xがデビューした1983年を独断と偏見で振り返ってみたい。高校2年生だった筆者にとってこの年の出来事で最も印象的だったのは、東京ディズニーランドが開園したことかな。ミッキーマウスなどに特別興味があったわけはないが、別の高校に

通っていた地元の友人が、修学旅行でディズニーランドに行ったのを自慢していたからなのだが、地元のヤンキーで有名だった男がミッキーと一緒にうれしそうに写真に写っているのが羨ましかった。

あとは、高校野球でPL学園のKKコンビと言われた桑田真澄、清原和博両選手が1年生で大活躍したこと。両名は筆者のひとつ下の学年だ。高校野球はなぜか自分よりも年下が出場するようになって見なくなったが、KKコンビの活躍がその契機だったと思う。

ライバルは初代トヨタMR2

初代CR-XにDOHCエンジンが搭載される少し前にトヨタは日本車初のミドシップカーの初代MR2をデビューさせた。初代CR-Xが2+2に対し初代MR2は完全な2シーターだったが、ライトウェイトコンパクトスポーツとして格好のライバルだった。この関係は同じ排気量の1.6LのDOHCエンジンを搭載してからより激化。

初代MR2は正直なところミドシップで登場した以外走行性能など、すべての点で初代CR-Xより低評価で、簡単に言えば完敗というわけだ。

初代CR-Xのライバルと言えば初代MR2だったが、走りのポテンシャルでは初代CR-Xが圧倒

前にも書いたが、当時筆者が一番好きだったクルマがこの初代MR2だったこともあり、非常に悲しい思いをしたのを覚えている。好きなクルマが酷評されているのはなかなか受け入れられなかった。そんなこともあって筆者は初代CR-Xのことが嫌いだったのだ。

それが晴れたのは、大学に入ってから。友人の所有する初代CR-X、初代MR2を運転して、明らかな出来の違い(初代CR-Xの優秀さ)を痛感した。

安さも大きな魅力

話をCR-Xに戻そう。初代CR-Xは当時の若者からも大人気となった。人気の要因はライトウェイトFFスポーツとして魅力的だしデザインもいい。さらにデビュー時のトップグレードの1.5ℓモデルは127万円だったし、DOHCの1.6ℓのSiですら150万3000円という格安価格も大きかった。家族で使うなどでなければ、シビックでなく積極的に初代CR-Xを選択する若者が多かったのも時代を感じさせる。

初代CR-Xはホンダが新たなユーザーを獲得する契機となったのは間違いないだろう。2代目プレリュードが大ヒットしてホンダの知名度は飛躍的にアップしたが、こちらはスポーティというよりもオシャレ、カッコいいというので人気。それに対し当時の若者にホンダのスポーツイメージを定着させたのは間違いなくこのクルマだ。

1987年にフルモデルチェンジを受け2代目のサイバーが登場し、その2代目は初代以上に若者を魅了した。

初代をさらに洗練させたデザインの2代目。サイバースポーツのキャッチコピーとVTECエンジンで初代以上に若者から支持された

【ホンダバラードスポーツCR-X Si主要諸元】
全長3675×全幅1625×全高1290mm
ホイールベース:2200mm
車両重量:860kg
エンジン:1590cc、直列4気筒DOHC
最高出力:135ps/6500rpm
最大トルク:15.5kgm/5000rpm
価格:150万3000円(5MT)

【豆知識】
初代シティは1981年にデビュー。シビックよりも小さいホンダのベーシックカーとして登場。背の高いトールワゴンコンセプトが老若男女を魅了。ホンダを連呼するマッドマックスのTVCMも話題になった。そのシティはターボを追加した後、1983年にターボにインタークーラーを装着し、オーバーフェンダーが大迫力のターボII、オープンカーのカブリオレを登場させさらに人気となった。

初代CR-Xと同じ1983年にデビューしたシティターボIIはブルドックの愛称で親しまれた

市原信幸
1966年、広島県生まれのかに座。この世代の例にもれず小学生の時に池沢早人師(旧ペンネームは池沢さとし)先生の漫画『サーキットの狼』(『週刊少年ジャンプ』に1975~1979年連載)に端を発するスーパーカーブームを経験。ブームが去った後もクルマ濃度は薄まるどころか増すばかり。大学入学時に上京し、新卒で三推社(現講談社ビーシー)に入社。以後、30年近く『ベストカー』の編集に携わる。

写真/HONDA

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市原 信幸
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