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ホンダの気概が凄い

今回の原稿を書くにあたり、デビュー当時に出されたプレスリリースを読み返しているのだが、アコードの開発陣の意気込みが凄い。

「セダン・イノベーション、新型アコード&ビガー。この車は、今後の車作りの先進的な新基準となっていくでしょう。それは初代アコードが登場した時のように、単にホンダだけにとどまらない、日本のモータリゼーションにとってもひとつのエポック。新たな時代が、始まりました」(リリースより抜粋)

2.0Siのエンブレムはアコードファンの憧れ。2本出しマフラーがスポーティ

 セダンを変える、という意味で『セダン・イノベーション』という言葉はよく使われるが、日本メーカーで初めて使ったのは3代目アコードだったと記憶している。

車格アップ、機能美を纏ったエクステリアデザイン、新開発の2L&1.8LのDOHCエンジン、FF(前輪駆動)車として世界初となる4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションなどの採用は、すべてセダン・イノベーションの実現を目指したものだったのだ。

ホンダのエンジンの凄さ

3代目アコードは1.8L、直4SOHC、1.8L、直4DOHC、2L、直4DOHCという3種類のエンジンをラインナップ。1.8L&2L、直4DOHCは新開発された。2L、直4DOHCは、3代目アコードのデビュー直前にプレリュードに搭載されていた。

最上級グレードの2.0Siに搭載される2L、直4DOHCは160psをマーク。当時はホンダ史上馬力のエンジンとして話題になった。各メーカーがDOHC化するなか、お家芸ともいえるDOHCエンジンを温存してきたホンダが、シビック、CR-XのZCエンジンに次いで登場させたDOHCエンジンにファンは歓喜!!

2L、直4DOHCはアコードの直前にプレリュードに搭載された

ホンダのS(エス)や第1期F1での活躍を肌で感じていない、さらにほとんどの高校で在学中の二輪免許取得が禁止されていた1966年生まれの筆者世代(特に筆者)は、それよりも上の世代の方々に比べるとホンダに対する思い入れは強くない。CVCCエンジンの凄さはしっているが、高性能エンジンのイメージもなかった。

それなのに各自動車雑誌などで絶賛されているのがちょっと不思議だったが、恥ずかしながら運転免許を取得して、初代CR-X、今回取り上げている3代目アコード2.0Siを実際に運転して、その気持ちよさ、凄さを体感した次第だ。

160psをマークする2L、直4DOHCはロングストロークでトルク感も充分

巨匠も絶賛

一方シャシー面での特筆事項と言えば、FF車で世界初となる4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションの採用だろう。ダブルウィッシュボーンサスは高性能車、高級車御用達というイメージだったなか、2Lクラスセダンのアコードに採用されたのは驚きだった。理論上タイヤと路面との間のグリップ変化が少ないため、ハンドリング性能、直進安定性、乗り心地ともに高いレベルを実現できる。

世界で初めてFF車に4輪ダブルウィッシュボーンサスを採用

では、3代目アコードの出来はどうだったのかだが、当時の雑誌などを読み返しても、FF車作りのノウハウを持ったホンダらしく、その評価はすこぶる高かった。自動車雑誌の『ベストカー』の1985年9月10日号では、徳大寺巨匠は、初試乗後にFFとFRで駆動方式は違うが、アコードのライバルとしてメルセデスベンツ190E(当時の2Lクラスセダンとして出色の走りだった)を挙げていたほどだ。

量産車でFFレイアウトを世界初採用したのはMINIだが、FF車を世界に広めたのはホンダの貢献が大きいと思っている。そのノウハウが生かされていたのが3代目アコードだった。ただ、そのホンダをしてもボンネットが低い3代目アコードに高さが必要なアッパーアームを入れ込むのには、ギチギチに詰まったFF車のエンジンルームの制約もありかなり苦労したようだ。それを実現したのも気概の高さの賜物だ。

アコードのイメージスケッチ。実車と大きく乖離していない
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市原 信幸
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