リトラクタブルを採用したセダンは少数派
スーパーカーブームで大人気となったリトラクタブルヘッドライトだが、日本車で初採用したのは1967年デビューのトヨタ2000GT。その後1978年に登場したマツダサバンナRX-7に採用され、その後日本車でも採用モデルが増えていった。
ホンダ車では1982年登場の2代目プレリュードで初採用し、元祖デートカーと大人気になった大きな要因でもある。ホンダはバラード、バラードスポーツCR-Xにヘッドライト上部ののみが稼働するセミリトラクタブルを採用していたが、フルリトラクタブルとしては3代目アコードが2例目となる。
ちなみに非スポーツのセダン系モデルのフルリトラクタブルヘッドライトの採用車は少数派で、日本車初はマツダコスモ(1981年)、3代目アコード、その直後にデビューした初代インテグラくらいのものだ。
アコードはリトラクタブルヘッドライトを採用したことにより、大人気だったプレリュードの影響もあり、プレリュードセダンという見方もあったと思う。このことも3代目アコードがヒットした要因のひとつだろう。
ボディの大型化でクラスアップ
3代目アコードのボディサイズは全長4535×全幅1695×全高1355mm。2代目のセダンが全長4410×全幅1650×全高1375mmだったので、かなり大型化されている。5代目マークII(全長4650×全幅1690×全高1415mm)よりも全長は短いが、それに匹敵するクラスに車格アップした。もっとも顕著なのがホイールベースで、2代目の2450mmから2600mmへと引き延ばされている。これはすなわち、室内の快適性の向上、優れた直進安定性を実現させるためだった。
特筆は1355mmの全高で、マークIIからもわかるとおりセダンの全高は1400mmちょい超えが当たり前のなか、異例に低かった。これもスポーティイメージを植え付けるには打ってつけだった。
機能性を追求した結果のデザイン
3代目アコードはスタイリッシュなエクステリアデザインが与えられているが、カッコだけのこけおどしではなく、当時トレンドとなっていた空力も突き詰めていた。低いノーズは空気抵抗低減のためだし、三次曲面を売りにしていたサイドウィンドウは、段差5mmの精度を誇り、空力ドアミラーも採用するなどこだわりを見せていた。デザイン上のポイントともなる低傾斜角のリアウィンドウは、ボディサイドまで回り込むラップラウンドタイプとし、ガラスエリアの広いキャビンの実現にひと役買っている。すべてのデザインは、機能に通じているのも3代目アコードの特徴だ。
3代目アコードの兄弟車として2代目に引き続きビガーが設定されていたが、フロントグリルのデザインとリアのナンバープレートの取り付け位置が違う程度とその差は小さかった。