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秘伝のレシピを受け継ぐ、シャープな味わいのカレー

今やこの店の代表メニューとなった「スパイシーチキンカレー」(15時までミニラッシー付き1000円)。具材は実にシンプルだ。炒めた玉葱にターメリックやカルダモン、ガラムマサラ、キッチンキングなどのスパイスとトマトピューレを混ぜて煮込み、狐色に揚げた鶏肉を入れ、一晩おいたら揚げた鶏肉を入れ、コトコト煮込んだら完成である。

「私が店を引き継いだ2021(令和3)年からは、玉葱の炒め時間を3時間から8時間に引き上げ、旨みとコクをプラスしています」

シャープな味わいの中にも凝縮された旨みとコクを感じるカレーは、口の中でほろほろと崩れる鶏肉の食感と、後からじわじわと湧き上がるスパイシーさがたまらなくクセになる。セットで提供されるピクルスと、爽やかなラッシーもうれしい。

ランチはカレーに玉葱のピクルスとラッシーが付いてくるところがポイント

「ただいま」と帰ってきたくなるノスタルジックな喫茶店

「看板メニューのカレーや、母が生み出したカルチャーを継承していくことはもちろん、これからは若い方も立ち寄り易いバーにしていきたいですね」

実は、喫茶店ながら1988(昭和63)年からはカフェバーとしてもスタートした。今では、ウイスキーや焼酎、ワインなどの酒も豊富に揃っている。この日も、平日ながら17時には常連客のおじ様たちがほっと一息つくようにカウンター席でお気に入りの一杯を楽しんでいた。

何年時を経ても、変わらず「ただいま」と帰ってきたくなるような、懐かしく趣のある空気が店内には流れる。歴史を刻む看板メニューとともに、お気に入りの一杯を楽しんでみては。

夕方からはアルコールメニューも豊富にラインナップしている

文・写真/中村友美
フード&トラベルライター。東京都生まれ。美術大学を卒業後、出版社で編集者・ディレクターを経験後、現在に至る。15歳からカフェ・喫茶店巡りを開始し、食の魅力に取り憑かれて以来、飲食にまつわる人々のストーリーに関心あり。古きよき喫茶店や居酒屋からミシュラン星付きレストランまで幅広く足を運ぶ。趣味は日本全国の商店建築巡り。

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中村友美
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