ビッグネームが復活
三菱にとってコルトは特別な車名だ。1960~1962年に販売された三菱コルト500は、三菱重工時代のクルマで、三菱車としては3番目となるのだが、三菱独自が開発した最初のモデルとなる。コルト500は600、800、1000、1100、1500など排気量、ボディを拡大して進化をして三菱発展の原動力となった。
コルトはトヨタで言えばコロナのような存在で、コロナからマークIIが派生したように、コルトからはギャランが派生し、1969年にコルトギャランが誕生している。コルトの車名はミラージュの輸出仕様に使われていたこともあるが、日本では1973年にコルトギャランがギャランとなって以来、約30年ぶりの復活を遂げた。
三菱はZカー構想のブランニューコンパクトカーを登場させるにあたり、コルトの車名を復活させることをデビューの5カ月前に発表するなど力を入れていた。
東京モーターショーでコンセプトカーを出展
三菱は東京モーターショー2001に「アーバン・スタイリッシュ・コンパクト」のCZ2、「スポーツ・フィーリング・コンパクト」のCZ3ターマック、「次世代リラクゼーション・コンパクト」のスペースライナー、「ニュー・アクティブ・ギア」S.U.P.という4台のコンセプトカーを出展。
この中のCZ2こそ新生コルトのデザインコンセプトカーだった。モーターショーでも三菱はこのCZ2をベースにしたコンパクトカーを市販すると明言。超絶スタイリッシュなコンパクトカーに期待感満点だった。ちなみに、CZ3ターマックは、コルトのスポーツモデルのコルトラリーアートバージョンRとして2005年、スペースライナーは2003年に乗用タイプミニバンのグランディスとして市販化されている。
1.5Lと1.5Lエンジンを搭載するコンパクトカー
晴れて登場した三菱の期待のブランニューコンパクトカーのコルトのキャッチフレーズは、『まじめ。まじめ。まじめ。』。日独で共同開発した、コンパクトカーに必要とされる性能をまじめに追求したことをアピールしていたが、自虐的な意味も込められていた。
コルトのボディサイズは全長3870×全幅1680×全高1550mm。大きさはヴィッツとフィットの中間と言った感じで、室内(特に後席)もフィットほど広くないが、コンパクトカーとして不満のないレベルに仕上げられていた。
心臓部には1.3Lと1.5LのMIVECを搭載。MIVECとはホンダのVTECに対抗して登場させた三菱のエンジン技術で、エンジンのバルブの開閉タイミングだけでなくリフト量も制御するもので、1990年代はパワー追求のために使われていたが、コルトはパワーではなく燃費、環境性能の追求のために使われた。