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ブーレイ顔に賛否両論

真横から見るとコンパクトカーとして秀逸なデザインであることがわかる

新生コルトのセールスポイントは、フロントからリアにかけて流れるようなラインが美しいワンモーションフォルムにある。キャビンは大きいのだが、それを感じさせない秀逸なデザインで登場。特に真横から見たシルエットは4mを切る全長とは思えないほど伸びやかに見える。日本では5ドアハッチバックのみだったが、欧州では3ドア、5ドアの両タイプが販売されていた。車名は3ドアがCZ3、5ドアがCZ5だった。

賛否分かれたブーレイ顔

コルトをデザインしたのは、ダイムラークライスラーから三菱に送り込まれたオリビエ・ブーレイ氏。ブーレイ氏は2代目スバルレガシィをデザインしたことでも有名。しかし、三角形の台座に大きな三菱エンブレムを配置し、その両サイドにスリット状のグリルを装着したフロントマスクは賛否分かれた。このフロントマスクは、三菱においてブーレイ氏が考えたアイデンティティだったが、何となく精悍さに欠ける、というのが否定派の意見。逆に賛成派は、高級感がある、質感が高く見えるというものだったと記憶している。

この「ブーレイ顔」(揶揄した表現)は、後に登場するグランディス、ランサー(マイチェン後)、ランエボVIIIなどに採用されたが、特にランエボVIIIでは大不評だった。

グランディスのブーレイ顔も評判はイマイチだった

カスタマーフリーチョイス

「まじめ。まじめ。まじめ。」を謡ったコルトだが、それを最も具現化していたのが、カスタマーフリーチョイスだろう。コルトにはエレガンス、カジュアル、スポーツという3つのグレードが用意されていた。このグレードをそのまま購入することも可能だが、エンジン(1.3L /1.5L)、内装色(ウォーム/クール)、フロントシート(セパレート/ベンチ)、リアシート(セパレート/ベンチ)、オーディオ(チューナー+CD or カセット/レス)、スピーカー(2 or 4/レス)、ホイール(ノーマルスチール/アルミ)を自在に選べた。「あなた好みの自分だけの仕様を作ります」との触れ込みどおり、そのパターンは3億通りにもなるというから驚く。

内装、外装など自由にチョイスできたのが凄い

日本車でユーザーが仕様を選べるモデルとして初代トヨタセリカ(1970年)、初代トヨタRAV4(1994年)が有名だが、コルトは三菱初だった。すでにグレード数の削減、フリーで選べるオプションを減らしてセットオプションを励行することが当たり前になっていたので、時代に逆行するチャレンジだった。

とは言え、3億通りにもなる組み合わせを管理するのは非常に大変で、三菱車ではコルトのほかには後述するコルトプラス、グランディスに採用されたのみで、2005年10月(グランディスは2005年5月)にサービスを終了。実際にやったこと、3年間も継続したことは評価されるべきだ。

ユーザーのニーズに合わせてフルフラットも採用

ホットハッチ復活!!

コルトは追加モデル、派生モデルが魅力的で、2004年に1.5Lターボエンジンを搭載したコルトラリーアートバージョンR(以下バージョンR)を登場させた。前述のとおり、東京モーターショー2001で公開されていたCZ3ターマックの市販モデルだ。

バージョンRは専用エアロパーツ装着、全幅、トレッドの拡大に合わせブラックアウトされたフェンダーモール追加、ボンネットのエアスクープなどを特別装備。見た目はコルトだが、ノーマルより明らかに精悍な雰囲気に仕上げられている。スポーツ好きにはレカロシートもオプション設定されていた。

ノーマルコルトに対し精悍に仕上げられたコルトラリーアートバージョンR

トランスミッションはゲトラグ製の5MTとINVECS-IIIスポーツモード6CVTが用意され、CVTもマニュアル的にスポーツ走行が楽しめた。

1980年代に全盛を誇ったホットハッチだったが、1990年代に激減。そんななか、スポーツマインドを掻き立ててくれる三菱のホットハッチの復活をクルマ好きは歓迎した。2005年には現行モデルの礎といえるスズキスイフトスポーツが登場するが、両車はライバルとしてクルマ好きを熱くさせてくれた。

1.5Lターボの爆発的なパンチ力がクルマ好きを魅了
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貴重なコンパクトワゴンも追加...
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この記事のライター

市原 信幸
市原 信幸

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