有名ラーメン店の煮卵から受けた衝撃
ゆで卵は、子どもの頃の遠足でもよく食べていた記憶があります。「から付き」のまま持たされていましたね。だいたい固ゆでで、しかもうまくからがむけず、薄皮をはがすときに白身の表面がデコボコになってしまう――そんな、ゆで卵で育った世代です。
ところが、大人になってラーメン店で出会った煮卵は衝撃でした。ツルンとした美しいあめ色のゆで卵は、中の黄身もトロ~リとした超半熟。
かつて九段下(東京都千代田区)にあった有名ラーメン店での光景ですが、2リットルは入る氷水用のピッチャーの中いっぱいに、煮汁とともに浸けられたていた煮卵は実に壮観でした。
しかも、煮卵の表面はキズひとつない“美貌”。百発百中でからがきれいにむけているのです。
「どうやれば、あれだけたくさんのゆで卵を、すべてきれいにむけるのだろうか?」
オイラが抱き続けてきた素朴な疑問は、やがて、テレビ番組で解き明かされました。ご存じの方もいらっしゃると思いますが、ゆでる前のたまごの底部(とんがっていないほう)に、画ビョウで小さな穴をあけておくのです。
穴があくことで卵をゆでるときに、からの内側にある膜と、ゆで卵の白身との間に水が入るため、むきやすくなるという仕組みでした。
しかも、古くなるほどむきやすくなるのだそう。新しい卵の白身には「炭酸ガス」が含まれていてるそうですが、時間の経過とともにガスが抜け、からと白身の間に「すき間」が生じることでよりむきやすくなるのでした。
参考文献/一般社団法人日本卵業協会ホームページ「タマゴQ&A」
…つづく「「こんなうまいものがあるのか」…20歳の青年が、オホーツクの旅で《ホタテ貝の刺し身》に感動し始めた「意外な商売」」では、宮城県三陸のひとりの養殖家が、うまいカキを探しに世界中を旅した話を明かします。
文・写真/沢田 浩
さわだ・ひろし。書籍編集者。1955年、福岡県に生まれる。学習院大学卒業後、1979年に主婦と生活社入社。「週刊女性」時代の十数年間は、皇室担当として従事し、皇太子妃候補としての小和田雅子さんの存在をスクープ。1999年より、セブン&アイ出版に転じ、生活情報誌「saita」編集長を経て、書籍編集者に。2018年2月、常務執行役員パブリッシング事業部長を最後に退社。