フレンチコースとフレンチ膳を味わう
日常を離れ、時の移ろいを愉しむレストラン列車。その車内では、流れる景色を眺めながら、洗練された美食のフレンチを味わうことができる。何とも贅沢な時間だ。料理は、三重・伊勢志摩の恵みを織り込んだこだわりのフレンチコースと膳の2つのスタイルから選ぶことができる。
肝心なお値段はというと、平日と土休日で料金設定が異なり、フレンチコースならば平日が33000円に対して、土休日は36000円、フレンチ膳は平日が19000円で、土休日が21000円だ。この値段には、料理代のほか片道乗車券(名古屋駅とフリー区間〔伊勢市駅〜賢島駅間〕)と、ウェルカムドリンク(スパークリングワインまたは、みかんジュース)、食後のドリンク(コーヒーまたはハーブティー)、諸税が含まれる。乗車券のフリー区間内は、利用する日に限り乗り降り自由となる。ドリンクについては、有料で日本酒などを追加することも可能だ。なお、子ども料金の設定はない。
「フレンチコース」は、2016(平成28)年に開催された伊勢志摩サミットで、ワーキングディナーを担当した志摩観光ホテルの総料理長・樋口宏江さんが監修した本格フレンチで、4号車だけの限定メニューとなっている。熊野地鶏、三重県産和牛、鮑、伊勢海老といった選りすぐりの食材を使い、香り立つ魚料理に濃厚な味わいのメインディッシュと柑橘香るデザートまで、車窓とともに優雅に楽しめるレストラン列車の旅にふさわしいメニューだ。
いっぽうの「フレンチ膳」は、近鉄・都ホテルズ監修によるもので、木箱仕立てという可愛らしい食器に、三重・伊勢志摩の“海の幸”や、“山の恵み”を感じる彩り豊かな和のテイストで盛り付けられている。こちらは、1・2号車の限定メニューで、真珠貝、あおさ、伊勢まだい、伊勢湾産アサリ、三重県産和牛など食材の豊かな風味が響き合い、車窓に移ろう景色とともに多彩な味わいが楽しめる。
コース、膳のいずれも、食材の入荷状況により料理の内容が変更となる場合がある。列車に積まれるドリンクは29種類あり、ウエルカムドリンクにはスパークリングワイン「伊勢っ子(伊勢美し国醸造)」または、三重県産みかん100%ジュース、食後には、なかむら珈琲かハ志摩観光ホテルオリジナルーブティーが提供される。このほか、有料となるが三重の伊勢ワイン(赤/2200円)や日本酒「作(純米大吟醸/冷酒)1900円」、クラフトビール(志摩醸造)1000円などを追加注文することも可能だ。もちろんノンアルコールのスパークリングワインやビール、ソフトドリンクも用意される。フレンチコースには、その味わいを引き立たせるペアリングセット「美し国ブラン(白)、キュベモミジシャルドネ(白)、美し国ノワール(赤)」4500円が用意されているのもうれしい。
その昔の「列車食堂」といえば、走る列車のなかでコックが腕を振るい調理を行っていたものだが、近年は保健所による衛生管理が厳しくなったこともあり、調理許可がおりないという。結果、事前に別の厨房で調理されたものを列車内に持ち込み、温めやお皿への盛り付けなどをするだけにとどまる。昭和世代にとって、あの何とも香ばしい調理の音とにおいが、つい頭の中をよぎってしまう。







